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それでは、Alifeの暮らしは実際のところどうなのだろうか。「Alife FL」に入居して半年ほどになる廖さん(24歳)に話を聞いた。

台中出身の廖さんは、大学院を卒業後、台北にある政府関連の研究施設で助手として働くため、大学生以来の一人暮らしを始めることになった。友人から勧められて「Alife FL」を見学したところ、サービスや設備の良さが気に入り、すぐに入居を決めたという。

現在住んでいるのは、独立した部屋以外に、キッチンとトイレ・シャワーはもう一人の入居者と共用するルームシェアタイプの部屋で、家賃は月額1万6600元(およそ8万3000円)。

「社会に出たばかりの身には安くない金額ですが、政府が作った家賃補助制度に申し込み、1カ月3600元(およそ1万8000円)の補助を受けられることになったので、負担できています。

Alifeは共用スペースがとても充実しているので、友人を呼んで共有キッチンで作った料理を中庭で食べたり、一人の時も視聴覚室でNetflixやDisney+を観るなどして楽しんでいます。クリスマスや年越しに企画されるイベントにもよく参加します」(廖さん)

「Alife FL」に入居して半年ほどになる廖さん(中央)、両隣は「Alife」スタッフ(写真:筆者撮影)

「仕事は自分にとって時間を有意義に使うためのもの。プレッシャーが大きすぎない仕事を選び、しっかり働いて、定時の17時には必ず退社します。

不動産を買いたいとは思わないけれど、貯金して老後に備えたいと思います。でも、生活の中のささやかな幸せは楽しみたい。Alifeはそんな暮らしにぴったりフィットしています」(廖さん)

遊びに来る友人の中にも「Alifeに住みたい!」という人は多く、今のルームメイトが出て行ったら友人を誘って一緒に暮らそうと思っているのだそう。

持続可能な社会のための「利益の再分配」

それでは「Alife」の取り組みが、どのように「利益の再分配」をしているのか。

それにはJustin氏のバックグラウンドが深く関わっている。

Justin氏は大学生時代、22歳の時に2つの会社を起業し、売却に成功している。売却で得た利益を資金に、23歳で台湾初となるコワーキングスペース「混」を台北市内で開業した。

そのコワーキングスペースで、後に彼とともに「Plan b」を創業した張良伊氏と出会う。

張氏は「台湾青少年気候連盟」の創業者であり、大学在籍中の2012年に国連の気候変動会議「UNFCCC(COP18)」に出席した人物でもある。

張氏の加入もあって、「Plan b」は国連がSDGsを掲げる2016年以前から、企業や中央・地方政府、大学などのレビュー作成やコンサルティングをしてきた。現在は、クライアントの内側まで入り込み、実際のプロジェクトの実施にまで事業領域を拡大している。

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