次の"オードリー・タン"が手がける「凄い不動産」 新しい「循環型経済」を作り出す人の発想
士林官邸のほど近くにある「Alife FL」の一階には、台湾で今最も影響力のあるカフェブランドのひとつ「CAFE ACME」が、また台北駅近くの「Alife WCH」の一階にはヘルシードリンクショップの「植薀 Planté」があり、それぞれの入居者は平日毎日一杯、無料で飲むことができる。
もちろん、それぞれのショップは会員以外へもサービス提供できるので、より経営が安定するというわけだ。
ほかにも、会員限定で参加できる著名人のフリーマーケットやライブ、クリスマスや年越しなどの各種イベントの開催があり、そうした情報が案内される会員限定メールマガジンの発行、提携している清掃会社などライフスタイルブランドによるサブスクリプション、台湾で初となるLINE Payによる家賃の支払い、ペット対応ルームの完備など、充実したサービスが用意されている。
今後は一棟マンション以外に部屋やエリア単位ごとの賃貸物件を増やし、日本を含む海外拠点も展開する予定。サービス開始以来、「Alife」の入居率はつねに90%台後半で、ウェイティングを申し込む人が後を絶たない。
こうした賃貸サービスは居住者またはオフィスの利用者向けに提供されているが、それとは別に、会員限定イベントに参加できる一般会員制度も設けている。Justin氏がこれを「新しい生態系」と呼ぶ。「Alife」の会員組織とその周辺に集まった企業やブランド、著名人たちにとって、より持続可能で経済が循環するしくみを作り出そうとしているのだ。
サービス開始から一年ほどで100組ほどの住居会員、3114人の一般会員、合計3202名の会員を擁し、年間の売上高は2000万元(およそ1億円)を突破した(2021年7月~2022年6月までの11カ月実績)。
会員限定で実施されるイベントには、著名人によるフリーマーケットや音楽ライブ、講演会などがあり、なかでもフリーマーケットは1000人以上からの申し込みがあるほど好評だったという。
イベント会場や著名人、ブランドにとっても新規のファンを獲得でき、モノやサービスが売れるなど、メリットは少なくない。
「これまでの不動産業はコンクリートをお金に変えてきたけれど、もうそんな時代ではありません。過去にはマンションの一階にコンビニを入れて利便性をアピールするようなこともありましたが、今はそうした個性のないマンションは売れません。不動産業はコンテンツによって価値を高める時代」とJustin氏は言い切る。
より良いコンテンツがあれば人の流れが生まれ、その場所の価値が高まる。価値が高まることで、場所やコンテンツの持続可能性が高まるーーそんな新しい生態系を生み出すライフスタイルブランドとして、「Alife」は4年以内に現在の売上高の150倍、30億元の達成を目指している。
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