次の"オードリー・タン"が手がける「凄い不動産」 新しい「循環型経済」を作り出す人の発想
個人投資家でもあるJustin氏は、台湾の行政院(内閣に相当)国家発展基金公認のエンジェル投資家であり、彼が投資すると決めた投資先には国家発展委員会も同額を投資するという取り組みが6年以上続いている(ただし、500万元以下の投資先に限る)。
個人投資家としての活動と、SDGsやESGを専門とするコンサルファーム「Plan b」の両輪を回すJustin氏は、「持続可能な開発」を考える専門家だ。クライアントや自分たちの未来を考えた時、大規模な「経済の循環」を生み出すしくみの必要性を感じたという。
たとえば彼は二軒の独立系書店に投資をしているが、投資を決めた時、書店側から「投資してもらっても、自分たちは大してお金を稼げないのに」という反応があったという。だがJustin氏は「彼らはすでに人の流れやコンテンツという価値を稼ぐことができているのだから、そのサービス単独でお金を稼がなくて良い。彼らが持続的に稼いでくれる価値のおかげで、そのエリアの不動産価値が高く維持できるということを、パートナーの不動産会社たちもはっきり理解しています」と話す。
「『Alife』も同じ原理です。家賃が上がると可処分所得が減り、消費者たちは映画や展示を観るといった行動を減らさざるを得ません。でも『Alife』の住民が家賃を支払うだけで、私たちが投資して生態系に組み込んでいるカフェや書店、映画館やライブハウス、展示会やクリエイターらの持続性が高まります。そして何より会員たちは出費を気にせず、会員サービスを享受する形で文化的な活動に積極的に参加することができます。私たちも投資先からの回収率が高まるのですから、それぞれにとってメリットがあり、持続性も高まります」(Justin氏)
家賃や会員費を「証券」化する取り組み
さらに、Justin氏は「Alife」が発行する金融商品を開発中だという。
これは「Alife」の会員が支払う家賃や会員費を「証券」化する取り組みで、会員たちにもリターンを受けられるようにしようというものだ。近い将来これが実現すれば、若者たちは「Alife」の証券を財産にすることができる。
一連の独特の取り組みで台湾社会を変えようとするJustin氏。オードリー・タン氏しかり、Justin氏しかり。周囲の大人たちが才能のある人物を年齢やジェンダーといった基準で判断せず、その能力や実績を重視して起用できているからこそ、今、台湾の社会全体が前進しているように思えてならない。
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