次の"オードリー・タン"が手がける「凄い不動産」 新しい「循環型経済」を作り出す人の発想

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「Alife」はまず、パートナーの不動産会社から物件を借り上げ、賃貸住宅やオフィスにリノベーションする。そして、そこに自らが投資するブランドや企業をテナントやサービスとして組み込むことで、その不動産の価値を高めて、居住者向けに貸し出す。

不動産の価値が高まることで利益はさらに拡大し、「Alife」の投資先は不動産の居住者などの利用でより安定した収益を獲得、「Alife」の投資回収率も高まる。

居住者は「Alife」の会員になることで、同じ金額では到底得ることのできないようなQOLの高い生活を送ることができるようになる。

ここでいう循環型経済とは、「Alife」という経済的なゆるいつながりを生み出し、確立することで、それぞれにとってメリットの高いサイクルを実現しようというものだ。

このサービスにおける主要ターゲットは30〜40代のインターネット世代。台湾ではおよそ700万人が該当する。

この世代は人生の目標を結婚や不動産の購入に設定していないため、「目の前の暮らしには構わず、とにかくお金を稼いで家を買おう」とは考えない。そのぶん、自分が望むライフスタイルの充実を重視するし、ジェンダー平等や環境保護への意識も高い。そうした層に、QOLの高い暮らしを提供しようというのだ。

賃貸住宅の家賃は月額1万6000元〜(およそ8万円)に設定。現在は台北市内で「Alife FL」と「Alife WCH」、2棟のマンションを運営している。

実際のところ、「Alife」の現在の平均家賃は2万7000元(およそ13万5000円)ほど。

台北市内で「Alife」のターゲット層が借りている賃貸物件の家賃平均が2万2000〜2万5000元(およそ11万〜12万5000円ほど)ほどだから、それらの物件と比較するとやや高めだ。だが家賃の中にさまざまなサービスが含まれているという点で、一般の賃貸物件と大きく異なる。

士林官邸のほど近くにある「Alife FL」。共有スペースにはテラス、キッチン、視聴覚室などがある(提供:Alife)

「Alife」は新しい生態系

異常ともいえるほどに不動産インフレが加速する台湾では、家賃も毎年吊り上がっている。

高い家賃にプラスして、Wi-Fi環境を整え、NetflixやDisney+に加入し、おしゃれな家電やインテリアを買って、話題の展示会やライブに行くとなると、出費がかさんでしまう。

だが「Alife」の家賃には、そうした会員が欲するライフスタイル系のサービスが含まれているのだ。

Wi-Fiは各部屋に完備され、NetflixやDisney+などの配信サブスクリプションサービスは共有の視聴覚室で見放題。センスのいいインテリアが施された状態の部屋に入居できる。会員なら誰もが利用できる共有空間には、最先端のおしゃれ家電が揃ったキッチンや手入れの行き届いたテラス、おしゃれな業務用洗濯機、ギャラリーやレコード鑑賞スペースなどがある。

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