欧州最高の"知の巨人"が語る「日本復活への3条件」 「研究費の増額」「若者の創造性の発揚」「異論への称賛」

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もちろん、もしテクノロジーの悪い側面に勝利させたら、大惨事になります。たしかに悪い側面はあります。悪い点とは、私たちが読書ではなく、画面に長時間向かうことです。若者は勉強よりもビデオゲームに時間を費やしており、これは危険です。テクノロジーには、良い使い方と悪い使い方があります。だからこそ、教育が重要なのです。

近くフランスで出版する私の本は、教育がテーマです。教育こそが未来の鍵であり、新しいテクノロジーの最良の部分を使うことで、メディアや教育を含めた世界全体が大きく変わり、私たちは勝利することができる。一方で、テクノロジーは「最良」だけでなく「最悪」の結果ももたらしうるものです。

今後、教育システムは崩壊する可能性がある

――実際にAIやロボティクスはどんどん普及していくなど、デジタル技術で社会が変容し、混乱も生じる中で、教育や教育システムに一番欠けているのは何だと思いますか。

ジャック・アタリ:私たちは今後、教育システムが崩壊しかねない危険に直面することになると思います。

若者はすべてがオンライン上で学べると感じ、若者が教師の言うことに興味を持たなくなる。さらにアフリカやインドなど、多くの国では教育システム自体が、若者たちに何も教えられなくなるでしょう。若い人口が急激に増えているからです。

さらに、システムを利用する人が多すぎるという場合ではなくとも、テクノロジーをより活用することにより、一種のセルフ教育を行う、つまりデジタル機器だけを相手に、一人で学習するといったことも起きてきます。

今後はホログラムやメタバースを通して、さらに後にはバイオテクノロジーなどを通じて、より重要な問題を一人で学んでいくことになるでしょう。最終的に、人々が能力に応じて選別される傾向が極端に強まる。これは悪夢ですが、将来現実のものとなるおそれはあります。

そうならないために、私たちが変えなければならないのは、既存のシステムの長所を生かし、人々が学校でも、家庭でも学ぶ努力をし続けることです。私たちは、人生を通じて学ばなければなりません。教育は若い人だけのものではありません。

私たち一人ひとりが生涯を通じて学ばなければなりません。物事は急速に変化しているからです。私たちは皆、生涯学び続けることになるのです。

しかし、若い人たちは、異なる種類の価値に基づいて学ばなければならないでしょう。

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