「北朝鮮ハッカー」エリート集団の奴隷的な扱い 祖国の偽善を知り、家族は人質として拘束される
なぜラザルスは中国で活動するのか
FBIの「最重要指名手配:サイバー犯罪」のリストにアクセスすると、青地を背景にこちらを見つめる朴鎮赫(パク・ジンヒョク)の写真を見ることができる。無表情で、黒ストライプのしゃれたシャツに茶色のジャケットを着込んでいるが、街ですれ違ってもすぐに忘れてしまうようなタイプだ。
だが、この男こそ、数々のサイバー犯罪で使われてきたあらゆる偽名を使ってきた人物の素顔だとFBIは主張する。ソニー・ピクチャーズのコンピューター・システムをダウンさせ、バングラデシュ銀行から数百万ドルもの預金を奪ったのもこの男だ。
彼のような北朝鮮のハッカーが中国で活動していたことも明らかになった。このことは素朴な疑問をさらに深めることになった。北朝鮮の偏執的な孤立主義を考えると、なぜ北朝鮮政府はこうした者たちを国外に送り出すのだろう。
どうして国内にいて攻撃を行おうとしないのか? それには技術的な理由がいくつかある。北朝鮮のネット環境は非常にかぎられている。ネットへの接続はロシアと中国に拠点を置く企業から提供されており、国全体としてIPアドレスの保有数は約1000にすぎない。北朝鮮のハッカーが、国境を越えて中国に移動し、何千万ものIPアドレスのなかに身を隠すことはきわめて理にかなっている。
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