「スマホを年中買い替える人」に欠けている視点 「フェアフォン」が示す環境に優しい選択肢
10年使えるスマートフォンがあるとしたら、どんなものだろう。
ほとんどの人は、そんなことをゆったりと考えている余裕はないはずだ。何しろ、スマホの多くは2〜3年ごとの買い替えを前提に設計されている。アップルやサムスン電子といったスマホメーカーは新モデルを毎年発表。大々的なマーケティングキャンペーンを行い、消費者にアップグレードを促す。
だが、しばらく筆者の空想にお付き合いいただきたい。
もしスマホが10年使えるように設計されていたとしたら、消耗したバッテリーや割れた画面などの部品を私たちが簡単に交換できるように作られているはずだ。部品のアップグレードも可能になっているだろう。もっと高性能なカメラが欲しければ、古い部品を新しい部品に入れ替えることができる、というように。OSもずっとアップデートできるようになっているかもしれない。
このほうが良識的でサステイナブルなのでは?
長持ちするように作られていないスマホ
今年もスマホの新製品発表シーズンが始まった。サステイナブルなスマホに考えをめぐらせるのには絶好のタイミングだ。アップルは9月7日、前のモデルとたいして違わないiPhone(アイフォーン)14を発表。グーグルも同じ週に、新しいAndroid(アンドロイド)スマホを10月に発表する予定だと明らかにした。8月にはサムスンが本のように折りたためるスマホの最新モデルを発表している。
これらの最新モデルが示すように、今のスマホは長持ちするようには作られていない。ほとんどのスマホは接着剤でしっかりと封印されており、ユーザーは内部に触れることができない。カメラや画面などの部品を個別にアップグレードすることはできないのだ。OSのアップデート保証期間には限度があり、アンドロイド携帯で通常2年、iPhoneで5年程度となっている。
スマホの寿命を短くしておくことは、ハイテク企業とその業績にとっては素晴らしいことだろうが、私たちや私たちの財布にとってはそこまで素晴らしいこととはいえない。