「スマホを年中買い替える人」に欠けている視点 「フェアフォン」が示す環境に優しい選択肢

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かつてアップルで先端テクノロジー担当のバイスプレジデントを務め、デザイン関連で多数の著作があるドン・ノーマン氏は、スマホメーカーは消費者向けのテクノロジー製品をファッションのように扱う罪を犯していると語る。新製品を毎年発売し、その修理を年々難しくし、すぐに陳腐化する機能を追加しているというわけだ。

「メーカーはコンピューターを1枚の金属で作り、できるだけ薄くしたい。それにはバッテリーケースをなくす必要があり、ユーザーが自分で交換することは極めて難しくなった。使われているのもネジではなく接着剤だ」とノーマン氏は言う。

パーツを自分で交換できるフェアフォン

しかし、長持ちするスマホはあながち空想でもない。そのような製品はすでに1つ存在する。アムステルダムのスタートアップ企業、フェアフォンが作った「Fairphone(フェアフォン)4」(580ドル)だ。ヨーロッパ限定で販売されているフェアフォン4は、プラスチックカバーを簡単に外して中を見ることができる。部品交換は一般的なネジを何本か外すだけ。数分で終わる。

フェアフォンは、スマホを丸ごと買い替えなくても新技術が手に入り、落下などによって何か不具合が生じた場合にも簡単に修理できる、といったコンセプトに基づいている。今日の大多数のスマホに対するアンチテーゼとなっているのが、フェアフォンなのだ。その存在は、長寿命とサステナビリティのためにスマホメーカーが設計のあり方を変えられることを示している。

iPhoneやアンドロイド携帯を手に取って、よく見てほしい。特殊なドライバーを必要とする特別なネジで閉じられていることが分かるはずだ。アップルはネジまで独自設計している。

一方、フェアフォンには小さなドライバーが付属してくるため、ユーザーにも簡単に開けられる。というわけで、筆者がフェアフォンのテストで真っ先に行ったのは、それを分解することだった。

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