「ABEMA」がW杯全試合生中継を実現できた理由 10年先も成長を続けられるエンジニアの条件
熱い展開の連続に日本中が沸いた、2022年の「FIFA ワールドカップ カタール 2022」(以下、W杯)。その熱狂に一役買ったのが、新しい未来のテレビ『ABEMA』だ。
昨年開催されたW杯の全64試合を無料生中継した『ABEMA』では、1週間の視聴者数が3000万を突破するなど、過去最高を記録した。
「W杯のリアルタイム配信は『将来的にやりたい』とは思っていたけれど、技術的な難易度が非常に高く、まさかこんなに早く『ABEMA』で実現できるとは思っていませんでした」
そう話すのは、AbemaTVでCTOを務める西尾亮太さん。「思ったより早く」やってきたこの一大プロジェクトを、『ABEMA』の開発チームはなぜ乗りこえられたのか。
西尾さんが手掛けてきた開発組織づくりと、エンジニア育成のビジョンについて聞いた。
成長を支えるのは、「コト」に向かうエンジニア組織
—— 昨年末のW杯全試合生中継は、『ABEMA』にとって一大プロジェクトだったと思います。今振り返ってみて、特に印象的な取り組みは何でしたか?
西尾:配信中に高負荷がかかることを想定した障害対策に加え、W杯配信のための新機能開発、試合後のダイジェスト版制作など、新しい取り組みを同時に進めたことですね。
新しい機能の開発でいうと、試合データ(試合情報・選手情報など)の表示やコメント機能、数台のカメラから好きなアングルで視聴できるマルチアングル映像などを今回の中継に合わせて新たに追加しました。
さらに、VODで展開するハイライト映像も、これまで以上のスピード感、高品質の映像クオリティーで届けられるように、ワークフローの再設計から行っています。