プルトニウムの濃度はどのように推移しているのか
東京電力が28日、福島第一原発の敷地内の土壌から検出されたと発表したプルトニウム238、239、240。プルトニウムは毒性が強く半減期も非常に長い(239で2万4000年)ためとくに警戒が必要な放射性物質だ。核燃料の溶融により発生したものと推定されているが、東京電力は、今回検出されたプルトニウムの濃度は、過去の大気圏内核実験において国内で観測されたフォールアウト(下降物)と同様なレベルとしている。
東京電力の発表(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110328m.pdf)では、プルトニウム239・240が、乾土1キログラム当たり0.27ベクレル(誤差±0.042ベクレル)などとなっている。環境放射線データベース(http://search.kankyo-hoshano.go.jp/)によれば、08年6月の福島県双葉町の原子力施設周辺環境放射線モニタリング調査で0.31ベクレルが検出されている。
では、過去から現在まで、プルトニウムの濃度はどのように推移しているのだろうか。気象庁気象研究所のレポート「環境における人工放射能の研究2007」の第4章(http://www.mri-jma.go.jp/Dep/ge/2007Artifi_Radio_report/Chapter4.htm)から紹介する。
プルトニウム239および240の降下量。1平方メートル当たりミリベクレル。
グラフによると、1980年代半ばからはおおむね0.1~1ミリベクレルで推移しているが、過去1960年代、大気圏内核実験が盛んに行われていたころは、100~1000ミリベクレルと、現在の1000倍もの濃度だったことが分かる。
現時点での環境から受ける被曝量は、過去からのフォールアウトによる放射線量の累積になる(プルトニウムの半減期は極めて長いため、過去のフォールアウトからの放射線量の時間経過に伴う減少量は無視できる)。
60年代以前のフォールアウト量は現在までの累積の9割を占めており、現在観測されているプルトニウムから受けている被曝量のほとんどは、過去の大気圏内核実験によるものといえる。
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