前述したように、においの捉え方は個人差が大きいため、わきがを自分で判断するのは難しい。だが、目安となるものはある。
「わきがは遺伝します。ご両親にわきががあれば、その子どもも高い確率でわきがになります。自分に遺伝があるかは、耳垢でわかります。分泌物の質は遺伝性で決まってくるのです」(田邉医師)
具体的にいうと、わきがのある人は、湿ってベタベタした「湿性の耳垢」であることが多く、乾いてカサカサしている「乾性の耳垢」だとわきがの可能性は低い。日本人の約8割は乾性、湿性が2割弱だという。ちなみに、欧米人は約8割が湿性だ。
「外来で患者さん全員の耳垢を診ているわけではありませんが、わきがを訴えてくる方の9割以上は耳垢が湿性です」(田邉医師)
こうしたことを踏まえて、田邉医師にわきがの見極めポイントを聞いた。この3つに当てはまらない場合はわきがではない確率が高いので、過剰な心配は不要だ。
「それでも気になる場合は、におっているかどうかを家族や友人に聞くといいでしょう。客観的にみることはとても大事で、診療でのガーゼテストの結果で、不安から解消される方もたくさんいらっしゃいます」
外来にはまったくにおわないのに、異常に自分のにおいを気にする「自己臭恐怖症」だと思われる人が来ることもある。生活に支障が出ていたら、心療内科でのカウンセリングを紹介することもあるが、そこまで重症なケースはほとんどないそうだ。
ノーマスクの新生活に備える
わきがであってもなくても、リアル・コミュニケーションでは、においは親密度を妨げる不安要素の1つ。発する側にも受け取る側にも個人差があるためだ。そこで自分でできる対策を田邉医師に聞いた。
「まずは清潔に保つのが基本。今はわきがに限らず、におい対策が充実していて、市販で購入できるケア商品は多種多様に揃っています。たくさん使えばいいというものではなく、季節やご自分のライフスタイルに合わせて使いやすいものを取り入れるとよいと思います」
わきのにおい対策商品には大きく2つのタイプがある。1つは「汗を止めるタイプ」で、塗るタイプ、拭きとるタイプ、飲み薬など。もう1つは「臭いを消すタイプ」で、抗菌剤や殺菌成分が入っているスプレー、ロールタイプなどがある。
「そのほかの選択肢としては、健康保険外になりますが、院内で処方される『塩化アルミニウムローション』は、汗腺をふさいで汗の分泌自体を抑え、殺菌効果もあります。わきのにおいに有効といわれています」(田邉医師)
ほかの気になるポイントについても聞いてみた。Q&A方式で紹介する。
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