ハーバード研究員が最も大切にする「脳の使い方」 思考回路を変えると仕事がサクサク進むように

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ハーバードの研究室にいたとき、こんなことがありました。

ある日、研究室のボスが家族と観ていた人気情報番組の唐辛子特集で、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンの鎮痛作用が紹介されていました。タイでは古くから痛みを抑える民間療法として、唐辛子が使われていたのだそうです。

それまでの私たちの概念では、カプサイシンは刺激を与える作用が一般的でしたが、逆の抑制作用があることに驚き、興味をそそられたボスはさっそく私の同僚の研究者に「神経細胞にカプサイシンを流すとどういった反応が見られるか調べてみては?」とメールをしたのだそうです。連絡を受けた同僚が実験してみたところ、カプサイシンには刺激だけでなく、鎮痛効果もあるという実験データが得られました。

ワクワクした思いを早く実験で確かめたい

私たちは普段、何か情報やヒントを得て仮説を立てたとしても、実行に移すのには時間がかかります。そこには、「本当にこの仮説は正しいのか?」「実行に移すだけの価値のあるものか?」「今ある常識に抗ってもいいものだろうか?」といった疑いが働くからです。いわば、脳が行動にブレーキをかけている状態です。

しかしハーバードの研究員は違います。先に挙げたカプサイシンの実験のように、インプットした情報から何が発見できるのか、もしかしたら大いなる発見につながるのではないか、というワクワクした思いを早く実験で確かめたいという気持ちに満ちていました。

いつもワクワクしていたハーバードの研究室のメンバーたちが、これ以外にも輝かしい実績を出してきたのを私は何度も目にしました。

そして、そのときに印象的だったのは、ハーバードの研究員が皆、インプットしたことを行動に移すまでがとても迅速だったことです。ワクワクした気持ちになると、自然に行動が加速するということもあるでしょう。でもそれ以上に、ハーバードの研究員は、自分の経験から得た知識は思い込みである可能性が高いと知っていたからだと思います。その知識を持っているがゆえに、できないと判断し、未来の可能性を狭めていることもあるのです。

だからこそ、ワクワクした気持ちになったら、知識で判断する前に素早く実行していくのが重要です。

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