AIに仕事を奪われる人・奪われない人の決定的差 知識労働者の大量失業を防ぐためにはどうするか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このように、いまや、AIが代替する仕事は、「簡単な知識労働」のレベルに止まらず、直観的判断が求められる「高度な知識労働」の領域にまで広がっていることは、知識労働者にとっては、将来の大きな脅威である。

AIでは代替できない「3つの能力」

では、これからの時代、「AIによっても代替されない、人間だけが発揮できる能力」とは、具体的に、どのような能力か。

筆者は、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilのメンバーを務めていたが、この会合でも、この問題について、様々な議論がなされてきた。そして、この議論を通じて、多くの専門家は、次の「3つの能力」が、AIでは代替できない能力であるとの考えで、一致している。

第1 ホスピタリティ
 第2 マネジメント
 第3 クリエイティビティ

しかし、では、これら「3つの能力」が、さらに具体的に、どのような能力によって支えられているか。これら「3つの能力」を、どのように身につけ、磨いていくかについては、あまり深く議論されていないので、筆者の考えを、簡潔に述べておこう。

まず、最初の「ホスピタリティ」については、受付サービスや案内サービスなど、「言語的コミュニケーション」に基づく定型的なサービスは、AIが簡単に代替してしまう。従って、人間は、もっと高度なホスピタリティの能力を身につけなければならない。そのためには、これからの時代、特に、次の「2つの力」が重要になる。

第1は、「非言語的コミュニケーション力」である。すなわち、ビジネスの顧客や職場の同僚など、相手の無言の声に耳を傾け、その気持ちを推察し、また、言葉を超えて、こちらの温かい気持ちを伝える力を磨いていく必要がある。

第2は、「対人的深層共感力」である。これは、相手の立場に立って物事を考え、感じ、共感する能力であるが、非言語的コミュニケーション能力を最高度に発揮するために最も大切な力である。そして、言うまでもなく、この「非言語的コミュニケーション力」と「対人的深層共感力」は、AIでは決して代替できないものである。

次ページ「2つの力」が重要
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事