無印良品、台湾で大躍進を始めた知られざる経緯 大型店が続々、台湾オリジナル商品も本格化

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強気にも見える出店、台湾発の商品企画、商品構成の改変。

いくつもの大きな変化の渦中で陣頭指揮を執っていたのが、2021年末に着任し、台湾メディアなどが「20年近い台湾無印史上、初の日本人社長」と話題にした吉田明裕総経理(社長)だ。

吉田明裕総経理。1995年に新卒で良品計画に入社、本部勤務やロンドン、オーストラリア駐在などを経て、池袋西武店、銀座店店長ののちに台湾総経理に就任(写真:筆者撮影)

吉田総経理は、本部勤務、海外駐在経験、銀座店や池袋西武店といった無印良品の顔である店舗の責任者を務めた経験を持つ。

「これまでも台湾市場にはポテンシャルを感じていましたが、本社が2021年6月に出した中期経営計画で、“小売業としてもっとお客様の生活や社会に貢献していこう”という方針を出しました。その方針を受けて台湾にも無印良品の哲学をより浸透させ、成長にドライブをかけるために赴任してきました」

より地域の暮らしの中へ入っていく

大型店の出店には狙いがあるという。

「今でこそ旗艦店という呼び方をしていますが、今後はこの500〜600坪というのを1つの標準にしていきたい。

従来、台湾の店舗では平均150坪程度でした。でもリアル店舗でやるべきこと、どんなお店づくりをしていくのかを考え、衣食住の領域で、ある程度品数をそろえたうえでライフスタイルを提案するとなると、どうしてもそのくらいの広さが必要になります」(吉田総経理)

コロナ禍で多くのEC事業が大幅に伸びたのは台湾無印も例外ではなく、ネット店舗やデリバリーサービスは2桁成長した。ただ、そうした中、改めてリアル店舗の存在について考えさせられたという。

「小売業というお客様にいちばん近い立場である以上、お客様と一緒にその暮らしや地域社会を創っていくのが、私たちの使命。

台湾の方はコミュニケーションに積極的ですから、その場作りの重要性も改めて認識しました」(吉田総経理)

ガラス工房のほか、店頭で開催するワークショップなどのイベントも毎回即満員になるという(写真:筆者撮影)

出店先もいわゆる「お出かけしてショッピングを楽しむエリア」ではなく、あくまで「生活の中に入っていける場所」を選ぶようになってきているという。

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