全面的な解決にはならないだろうが、税金を投入せずに済む少子化対策として、一夫一婦制の緩和を考えることができる。原理的には妻がでもいいが、経済力のある夫が複数の配偶者を持つことを許容すると、経済的な負担にかかわらず子供をたくさん持ってもいいと考える富裕な夫(妻)と妻(夫)達の組み合わせが、追加的な子供を社会に供給してくれそうだ。
日本では「一夫一婦制」の緩和や婚外子権利拡大は困難
そうしたい当人同士がそうするなら反対する理由が筆者にはないので、大いに子供を増やしてもらうといいと思う。繰り返すが、追加予算を要さない少子化対策だ。
しかし、人々が相互に嫉妬深い昨今では、経済力を含めた異性に対する魅力の格差が家族の形で露骨に可視化されるような制度は許容されないのだろう。かの渋澤栄一翁が活躍したような時代を羨んでも仕方がない。
フランスや北欧の国で出生率が向上した実績があることから、婚外子(結婚していない男女による子供)の権利を、結婚している家庭の子供とまったく同等に認めるとともに、金銭的・物的(保育施設の充実など)な子育て支援を大いに拡大することが、考えうるベストな少子化対策だという意見もある。
大きな反対点の見当たらない相対的に良い意見だと思うのだが、夫婦別姓が認められず、同性同士の結婚も認められないような、独特に不寛容な家族観を持つ保守層が大きな政治的力を持つわが国では、予算措置以前に、安心して婚外子として生まれてくることができる社会を作ることが難しそうだ。
また、仮に「婚外子ウェルカム!」の社会を制度上作ることができても、人々がこれに慣れて、実際に出生率が上昇し、さらにそれが国力の維持(「増強」よりも「維持」が適切な言葉だろう)に結びつくにはこの先何十年もかかりそうだ。
そもそも、少子化対策自体が「何十年もかかる」ものなのだろうが、今のわれわれが張り切って取り組むには気の長すぎる話だ。
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