今では、一般的になったコンパクトハイトワゴンだが、そのブームを作った1台が日産の「キューブ」だろう。ひと目で人も荷物も載せやすそうな四角いボディを持ち、2019年の3代目で惜しまれつつ生産終了となったが、日産を代表するモデルだ。
オデッセイ以下、ワゴンR以上のちょうどいいサイズ感
日産のキューブは、1998年に新しく生まれたコンパクトなワゴン車だ。1994年にホンダから「オデッセイ」が売り出され、市場はミニバンに対する期待で高まっていた。あるいは、1993年にスズキの軽自動車の「ワゴンR」が誕生し、ハイトワゴンという価値が一気に注目された時期とも重なる。3ナンバーのオデッセイと、軽自動車のワゴンRの中間で、身近なコンパクトカーのハイトワゴンとして、キューブはたちまち人気を獲得し、月間1万台を売る人気車種となった。
開発の基になったのは、2代目の「マーチ」である。初代マーチは、1982年に誕生し、1992年まで10年間売られた。そして2代目へモデルチェンジした。この2代目マーチがキューブの基になっている。
2代目マーチは、日産としてはじめてコンピュータ支援機能(CAD)を使った造形がなされ、丸みを帯びた独特な姿が印象的だった。また、富士重工業(現在のスバル)から供給を受けたベルト式無段変速機(CVT)を日産車としてはじめて採用し、燃費の向上と加速のよさを両立させた。
開発中だったバブル期の恩恵(ただしバブル経済は1990年に崩壊している)もあり、プラットフォームやエンジンも新開発となっていた。そして、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞する。
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