埼玉県に潜む「ウイグル料理工場」その意外な全貌 ファストフードのように食べ歩きに合う料理も
現在、Tandoor Masterでは8人のウズベキスタン人が働いている。日本に暮らすウイグル人が少ないこともあって、同じ文化圏のウズベキスタン人の職人を採用しており、サムサ担当やナン担当が分かれているそうだ。それぞれの職人に担当をつけることで味の安定化を図っているという。
ここで作られたウイグル料理は、ウズベキスタン人の職人と何度も試食、改良を重ね、アブレットさんがいちばん美味しいと思うレシピで作っている自慢の味だ。サムサの餡で使われる牛肉やシシカバブの羊肉も、もちろんハラール食材を使っている。
「サムサは日本だとおにぎりみたいな食べ物です。ウイグルにいた頃は1週間に3、4回は食べていた主食の1つです」とアブレットさん。
Tandoor Masterではウイグル風のサムサとウズベキスタンやほかの中央アジア圏でも広く食べられているオーブンサムサの2種類を作っているが、同じサムサでも製法が違っていて奥が深い。
オーブンサムサは薄くした生地を何重にも重ねたパイのような皮になっているが、ウイグル風は肉まんのような生地を丸く包んだ製法になっている。
実際に食べてみると確かに一口食べたときの食感が全然異なっていて、オーブンサムサはサクッとしたパイのような軽い食感、ウイグル風はもっちりとして食べごたえがある食感だった。
「特にウイグル風サムサは肉まんなどと同じように小麦粉から生地を作りますが、生地がほかの小麦を使った食品よりも硬いんです。マシンを使って捏ねようとすると刃がすぐに折れてしまうので、手作りでしか製造できないんです」(アブレットさん)
春節祭では行列が絶えなかった
ちなみに、Tandoor Masterは今年1月末に上野公園で開催されていた春節祭にも出店し、シシカバブやナン、サムサなどのウイグル料理の数々を提供。
行列が絶えず、2時間で200個のサムサが売り切れてしまったそうだ。200個を作り上げるには2人で8時間かかるため、春節祭の夜にほとんど寝ずに作り込んだという。
なぜレストランではなく、工場生産のスタイルをとっているか。アブレットさんに聞いてみるとこんな答えが返ってきた。
「将来的にはTandoor Masterをチェーン展開したいと考えています。工場で生産したサムサを各店舗に配送して、店のタンドールで加熱したアツアツの状態で食べてほしいんです。レストランだと各店舗にシェフが必要ですが、工場生産なら各店舗に配送した商品を加熱するだけで食べてもらえるのでチェーン展開しやすいと思ったのです」
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