国民負担率47.5%の先に待つ日本の最悪シナリオ 大増税時代「唯一の希望は投資」超格差化に拍車

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2024年から株式などの運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)の恒久化、非課税投資額の大幅引き上げ(1人当たり800万円から1800万円に)、非課税保有期間の無期限化を盛り込んだ新NISAがスタートする。1億総株主、1億総投資家への布石であり、たとえ少ない所得であっても、投資で「倍増」も夢ではないという甘言である。と同時に、将来的に破綻する可能性がある社会保障に期待することなく、「自分の身は自分で守れ」という身もふたもないメッセージでもあるのだ。

年金で賄えないなら「自助」で増やせ?

これは根拠のない話ではない。2019年の大きなトピックに「老後資金2000万円問題」というのがあった。金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループによる報告書で、「老後30年間で約2000万円が必要になる」という試算が独り歩きしたもので、テレビや新聞で盛んに取り上げられていたため覚えている人も多いだろう。報告書には、年金で賄えない分は「自助」で金融資産を増やすことが提起されており、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)が推奨されていたのである。

<公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえて、年金制度の持続可能性を担保するためにマクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている。こうした状況を踏まえ、今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる。(金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」/金融庁/2019年6月3日)>

報告書では、「自助」「自助努力」「自助の精神」という言葉が頻出し、「金融サービスのあり方」では、「『自助』充実のニーズ増に応じ、資産形成・管理やコンサルティング機能の強化」という奇妙な表現もある。

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