生きづらい人が「陰謀論にハマる」のも一理ある訳 「自分だけは無関係」と思いがちな私たちにも重要

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陰謀 企み
陰謀論の「メリット」についてあえて考えてみます(写真:takeuchi masato/PIXTA)

「陰謀論にもメリットがある」

「陰謀論にも一理ある」

こんな言葉を口にすると多くの人々はギョッとするかもしれない。

だが、心理的な側面や、政治的な影響を考えたとき、それほど突飛な話ではない。なにより、陰謀論の効能を正確に知ることは、それにハマることによるやりがい、充実感、興奮や快楽について深く理解することであり、自分だけは無関係だと思いがちなわたしたちにとっても重要なことだからだ。

陰謀論は人間にとって当たり前にある

アメリカでは、Qアノンを信奉する人々による連邦議会襲撃が起こり、ドイツにおけるクーデター未遂事件の思想的背景に影響を与えたとみられている。日本では今のところこのような過激化の兆候はないが、Qアノンに感化された派生団体がコロナワクチン接種会場で妨害行為をし、逮捕される事態も生じている。

確かに、陰謀論は少なくない人々に誤った信念を植え付け、過激な行動に走らせることがある。だが、これは陰謀論に限った話ではない。人種や宗教などを動機とする犯罪であるヘイトクライム(憎悪犯罪)はその一例といえる。重要なのは、これほどまでに陰謀論の有害な側面が日々報道されているにもかかわらず、なぜ人々はそれに魅力を感じてのめり込むのかという本質的な問いへの答えである。

アメリカの陰謀論研究の第一人者といわれる政治学者のジョゼフ・E・ユージンスキによれば、陰謀論とは「有力な個人からなる少人数の集団が、自らの利益のために、公共の利益に反して秘密裏に行動した/行動している/行動するだろうという、信頼に足る証拠なく対象を非難する認識のことを指す」。そのうえで彼は、「陰謀論は人間にとって当たり前にあるものの一部だ。だれもが少なくともひとつはこれを信じている」と述べた(以上『陰謀論入門 誰が、なぜ信じるのか?』ジョゼフ・E・ユージンスキ著、北村京子訳、作品社)。

極端な例ばかりが報道されるために勘違いしやすいが、わたしたちが想像している以上に陰謀論は一般的なものなのだ。

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