「歴史的な円安」が示す、"日本の国力低下"の深刻 キーワードは「金利」と「国力」
「円安」は日本の「国力低下」を反映している
為替の変動が起きる主な原因は「金利」だ。世界中がインフレ退治のために金利を上げ続ける中、日本銀行だけがその動きに逆行し続けている。
大胆な金融政策で円安を作り出し、株価を引き上げ、輸出企業を振興したアベノミクスの旗振り役だった黒田総裁には方向転換は難しいだろう。
また、コロナ禍を脱するのが遅れて、経済が低迷する中で、金利を上げる選択もしにくい。コロナ対策やオリンピックやインフレ対策で財政を出動し続けている中で金利を上げると、国債市場が混乱しかねない。そこを世界の市場関係者は見越して安心して円を売り続けている。
短期には「金利」で決まる為替だが、長期には「国力」が国家の通貨価値を規定していく。そういう意味でこのままいけば長期的な円安傾向は続いてしまう。
まずは「国力」の基本は人口だ。日本の高度成長は人口増加がもたらしたといっていい。3000万人台だった江戸時代の総人口を100年ほどで4倍にまで増やしてきた。
ところが今のペースでいけば、今世紀末には日本の総人口は今の半分以下になってしまう。
一方で高齢者は増え続ける。15歳から64歳の労働力人口と65歳以上の高齢者の人口は国民皆年金・皆保険が導入された1960年頃は11対1であった。働き手が高齢者の10倍いたのだ。
それから90年後の今世紀半ばにはそれが1.3対1まで均衡してしまう。働き手と高齢者がほぼ1対1になってしまうのだ。もちろん定年の引き上げや健康寿命の延伸やリスキリングが行われていくだろうが、焼け石に水で、わが国の財政も経済も危機に陥る。
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