生涯現役!英国高齢者たちの自由な「恋愛事情」 高齢者は恋愛をしないなんて誰が決めた?
高齢者向け性産業を題材にした映画『茶飲友達』が、注目を集めている。「高齢者」と「恋愛」、まして「性」までは頭の中で結びつきにくいと思われてきたが、実は誰かとつながりたいという思いは若者だけの特権ではなかった。筆者が住むイギリスでは中高年ばかりか「後期高齢者」とされる年代になっても恋愛の現役である人が少なくない。
深紅のバラの前に立つ男性たち
2月14日のバレンタイン・デー。日本では女性が男性に愛を告白する日だが、イギリスではその逆だ。男性たちがガールフレンドや妻など、女性に向かって感謝と愛情を表現する。欠かせないのはカードと花だ。
14日当日、スーパーの店先には深紅のバラの花束が入ったバケツが所狭しと並ぶ。子供を肩車に乗せた父親、建設作業着姿の男性、スーツ姿の会社員、高校生など、さまざまな身なりと年齢の男性たちが花束をバケツから引き抜いていく。
女性たちに人気があるイタリアのスパークリングワイン、プロセコのボトルやチョコレートの箱を抱えながら、自動精算機で買い物を済ます。自宅で女性にカードやバラを渡す光景を想像すると、ほほえましい思いがする。この日、男たちは堂々と愛を告白し、ロマンティックな言葉を吐いてもよいのである。
しかし、考えてみると、年齢にかかわらず互いに愛情を表現する行為は、イギリスでは日常の一部だ。朝起きたときや外に出かける前に家族同士でほっぺたに、あるいは口元にキスをしたり、抱擁(ハグ)したりする習慣がある。友人・知人同士でも、相手を励ましたいとき、特別な感情を共有したいときにハグするのも至極普通の行為である。
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