ルールに縛られすぎる人に知ってほしい考え方 民主主義は何の為にあり、どう成長させていくか

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「このルールが変だ」と考えるのは自由ですし、むしろそう考えることは社会を進歩させるためには大切なことです。しかし、「このルールは変だから破ってしまえ」と考えると、民主主義は成り立ちません。

理由はわかりますよね。社会が無秩序になってしまうからです。

残念ながら、僕たち日本の大人はまだまだ「対話によって利害関係を調整していくこと」がうまくできません。

それは、いまの大人たちが子どものころに対話のトレーニングをする機会がほとんどなかったからだと僕は思います。

社会全体でこうした対話がうまくなっていくためには、もっと幼いころから、自分がいる身近な社会に当事者として直接的に関わり、互いの自由の対立を解決していく経験が必要です。

その経験を積む最適な場所が、僕が考える「学校」です。

民主主義は是認の試行錯誤によってこそ成長していく

「ヘンなルールだけど、ルールだから守っておこう」

「納得できないルールだから、破ってしまおう」

そう考えてしまうのは、民主主義をよくわかっていない証拠です。

僕はこのモヤモヤを解決するカギは、「世の中のさまざまなしくみを知ること」にあると考えています。

学校で「法律は自分たちで変えられる」というしくみを学び、実際に変わった例を知り、当事者意識を持てるようになれば、社会は必ず変わっていきます。

問題は、「そのルールを誰が作っているか」ということ。

ルールを当事者である自分たちが作るのか、ほかの誰かに作ってもらうのか。

もちろん、君たち生徒が自分たちでルールを作っていくのが望ましい学校のありかたです。そのための対話による試行錯誤で、一人ひとりの当事者意識が磨かれていくからです。

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民主主義は、全員の試行錯誤によってこそ成長していくものです。

軍国主義のころの日本は、その試行錯誤が許されない時代でした。そんな時代に戻ってしまわないためにも、学校はもっとも大切な場所です。

その考えを知った君たちが、次の世代の子どもたちに考え方を伝えていく。この繰り返しによって、平和で民主的な誰一人置き去りにしない社会が作られていくのです。

「ずいぶんのんびりした話だなあ」と感じるかもしれませんが、これこそが最短の方法なのだと僕は思います。

工藤 勇一 横浜創英中学・高等学校校長

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くどう ゆういち / Yuichi Kudo

横浜創英中学・高等学校校長。1960年山形県生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、2014年から千代田区立麹町中学校長として宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革を実行。2020年より現職。教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員など、公職を歴任。著書多数。

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