想像してもらえばわかりますが、強さだけを追い求める社会では、子どもや女性はもちろん、どんなに強い人間でさえも結局は誰も安心できず、落ち着いて暮らしていけません。
だから、民主主義は、「ある一定の条件つきで」みんな自由に生きていい、という前提の上に成り立っているのです。
「誰かを殴りたい」と心の中で思う自由は許しても、実際に殴っていいという自由を認めてしまったら、結局はみんなにとって不安でいっぱいの世の中になってしまう。
つまり、みんなが同じ社会で生きる以上、相手の生命や安全を脅かす自由をそのままにしておいては、誰もが困る可能性があるわけです。
だとすれば、「みんながOK」になるのは、被害を受ける人間が一人も出ない状態ですよね。それを実現するためには、原則として「人を殴ってはいけない」というルールを定めればいいことになります。
そして、ルールを破った場合の罰則を定めることで、たとえ「殴りたい」と思っても我慢できる抑止力にしようということになるわけです。
このような考え方を形にしたのが、僕たちの社会にある「法律」なのです。
まとめると、この社会で作られた法律は「人間どうしが自由に生きることで起きる対立を調整するためにつくられたしくみ」と言うことができます。
つまり、民主主義は、自分の自由を尊重しながら、他人の自由を侵害しない方向で自由な社会をつくっていくための「しくみ」でもあるのです。
「赤信号で立ち止まる」って、どの国でも同じだと思ってない?
ここで君に、2つの質問をしたいと思います。
1つめの質問です。
「放課後、君は近所のコンビニに向かいました。コンビニの前には横断歩道があります。信号は赤。右を見ても左を見ても、クルマもバイクも自転車も人も、通る気配はありません。君は赤信号を無視して、横断歩道を渡りますか?」
もちろん、赤信号を無視して横断するのは法律違反です。
道路交通法第7条には、「道路を通行する歩行者または車両等は、信号機の表示する信号または警察官等の手信号等に従わなければならない」と書かれています。
日本で信号無視をすれば、歩行者であっても、最大2万円の罰金に処される可能性があります。
ところが、海外に行くと事情は一変します。
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