「役所勤めなら安泰か」公務員の出世と身の処し方 エリートコース官房系と事業系は何が違うのか

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第二に、上司も加点主義で人事評価を考えることが多くなってきたということです。先に述べたように、役所にも新たな課題がいろいろと押し寄せてくるようになりました。このため、それに対応できる職員が重宝されることになります。

現在、自治体の職員数は非常に限られており、どの自治体も余剰人員を抱えるような余裕はありません。なぜなら、世間の公務員への視線には厳しいものがあり、とても余裕ある職員を抱えることなどは、世間的にも財政的にもできないのです。実際に、公務員数や人口に占める公務員の割合は、国際的に見ても日本は低くなっています。

このため、上司からすると、自分の組織にいかに優秀な部下を集めるかが、とても重要になってくるわけです。この時に、従来の「いかにミスしないか」の減点主義的思考の職員では、物足りないのです。「ミスをしない」というのは、ある意味では職員の資質としては最低ラインとも言えますので、そうした職員は「その他大勢の職員の1人」に過ぎず、どうしても目立たない職員になってしまうわけです。

このように考えると、現在の公務員には加点主義的な要素が求められていることが、おわかりいただけるかと思います。つまり、「正確に仕事ができることは当然であって、その上に付加価値を生み出すことができる人」が、今求められている公務員像なのです。付加価値とは、具体的には事務改善であったり、コスト削減であったり、いろいろなものが考えられます。その意味では、一般企業のビジネスパーソンに少し近づいてきたと言えるかもしれません。

公務員の出世術

「公務員になったら、どこまで出世したいか」は、職員であれば、やはり誰しも一度は考えることでしょう。出世というと、民間企業のビジネスパーソンであれば、「とにかく偉くなって、トップに立ちたい」というような人を想像しがちです。しかし、公務員の場合、そこまでギラギラとした野望を持って入庁する人は、あまりいません。

なぜなら、そもそも役所という非営利団体で公共性の高い仕事を選ぶ人たちなので、基本的には真面目な人が多いのです。「自分が、自分が」というエゴ丸出しのようなタイプは少ないというのが実感です。

実際に、組織の上部にいる管理職の職員であっても、若いうちからコツコツと仕事に取り組む中で、上司や周囲から勧められたり、「何とか自分でもできそうかな」と思ったりして、管理職になった人が多いように思います。

そこで、ここでは出世を大きく3つのコースに分けて考えてみたいと思います。1点目が管理職(一般に、課長以上)コース、2点目が係長コース、3点目が一般職員コースです。

この3つのコースのメリット・デメリットについて触れてみたいと思います。実際の職員たちがどのように考えて、それぞれのコースを選択してきたのかを整理したいと思います。

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