「役所勤めなら安泰か」公務員の出世と身の処し方 エリートコース官房系と事業系は何が違うのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
公務員 出世
公務員の出世は大きく3つのコースに分かれる(写真:Graphs/PIXTA)
公務員が人気の職業である理由の一つに、「安定している」と考えられていることが挙げられます。はたしてそのイメージ通り、いったん公務員になれば波風なく勤め上げることができるのでしょうか。本稿は、地方公務員を30年以上経験してきた秋田将人氏の著書『公務員になりたい! ベテラン公務員が教えるお役所就職ガイド』より一部抜粋・編集のうえ、公務員の身の処し方について解説します。

公務員は減点主義だ――。これは、世間一般でよく指摘されることです。役所という組織の人事評価は、ミスや失敗などがあれば、それに伴って減点されていくものだという考え方です。これは、「公務員にとっては、正確さが大事」ということを考えれば、何となく想像できると思います。また、これまでの自分の経験を振り返っても、そうした一面があることは否定できません。

このことを職員の意識という視点で考えると、職員は決められた役割分担に対して、「正確に処理できるか」、「いかにミスをしないか」を気にして働くこととなります。また、他の職員に対する意識についても同様のことが言えます。つまり、「〇〇さんは、金額を誤って送金してしまった」、「△△主事は、データを間違えた資料を作成した」のように、減点主義的な視点で、他の職員を見てしまいがちになるのです。

結果として、公務員は失敗やミスに対して、非常に敏感になってしまいます。「正確さがすべて」のような雰囲気は、窮屈で苦手と感じる人もいるでしょう。しかし、残念ながら、公務員の世界では、これを完全に避けることはできません。

減点主義だけでは対応できない状況に

一方で、公務員の組織を減点主義だからと割り切るのは、実態と合っていない側面もあります。それは、次のようなことです。

第一に、従来の減点主義だけでは、役所という組織を円滑に運営できなくなってきたことです。かつては、役所の仕事というと、あまり大きな変化もなく、「10年前も、今も同じ仕事をしている」というイメージを持つかもしれません。しかし、現在は、時代の変化が激しく、それに伴い法律や制度も大きく変わってきます。

以前にはなかったヤングケアラー、空き家、カーボンニュートラルなど、様々な問題が生まれています。これらの新しい問題については、前例踏襲では太刀打ちできません。自ら課題を発見し、的確に対応して、何らかの成果を残さないと、住民からも議会からも批判されてしまいます。

つまり、「いかにミスしないか」ではなく、「その問題に対して何をしたのか」という実績が重視されるようになってきたわけです。そもそも前例がないために、「ミスをしない」という視点では捉えられないのです。

次ページ減点主義的思考の職員は物足りない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事