「想像していた老後と違う」嘆く人に欠けてる視点 お金を使わず楽しく生きるのに最適な方法とは

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孤独感を感じるか否か。その違いはなんなのでしょうか。私は「好奇心」ではないかと考えています。ひとりでいるかどうかは関係なく、常に、新しいことに関心を持ち続けること。好奇心を持ち続けることはとても大切です。

新しいスマートフォンが出たら、とにかくその機能を使い倒してみる。若い人たちが歌う曲も聞いたり、カラオケで歌ったりしてみる。若い子たちの間でTikTokが流行っていたら、自分も見てみる。最新の機械、たとえばVRを体験したり、ドローンを操縦してみる。

必ずしも流行に乗らなければならないというわけではありません。若いころは興味を持てなかった歴史や文化を調べてみてもいいでしょう。歌舞伎や能、狂言などを観たり、神社、仏閣めぐりをしたり、調べたりしてもいいでしょう。

このように好奇心は、どんなことに対しても持てるはず。好奇心こそが、最強の脳トレだと私は思っています。毎日、新しい刺激を感じることは、孤独と上手に付き合うことにもなるのです。

老後の勉強は、若い頃よりも気軽で楽しい

ビートたけしさんが、著書『「さみしさ」の研究』のなかで、「人生は、年齢を重ねるほど生きづらく、理不尽になっていく。夢のように輝かしい老後なんてない。若いころに比べりゃ、つまらないことばかり増えていく――それが真理なんだよな」と書いています。

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たけしさんは、老後について考えるとき、まず「人生は、年齢を重ねるほどつまらなく不自由になっていく」という事実を受け入れて開き直ればいいじゃないかと言っているのです。「若者に好かれたい」「人から尊敬されたい」なんて思って窮屈にならずに、ヒンシュク上等で余生を楽しむくらいの心の持ちようを提案しています。

年を重ねるごとに、人生はつまらなくなる――これは世間一般の常識なのかもしれません。ですが、私は、そんなことはない、と考えます。つまらないのなら、楽しいことをやればいい、そんなふうに思うのです。だからといって、そう簡単に新しいことはできない、お金もかかるし、この年になって友だちをつくるなんて……と、なかなか重い腰を上げられない気持ちも理解できます。

でも、「勉強」ならできるのではないでしょうか。なぜなら、私たちは子どものころからずっと勉強をしてきました。学校を出て働き始めても勉強しなければいけないことが山ほどありました。私たちは勉強することに慣れています。いちど体が覚えてしまった自転車の乗り方をいつまでも忘れないように、年を取ってからも勉強できます。しかも、志望校合格のためでもなく、昇進のためでもない「70歳からの勉強」なら気軽に始めて、楽しく続けられるのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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