"元浪費家"のFPに教わる「貯める人」に変わる極意 お金ばかり心配する老後を避けるためにできること

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――FXやデイトレード、暗号資産なども長期的な資産形成には向いていない、という立場ですね。ご著書の中でも、これらを投資ではなく投機と位置付けて、「どうしてもやってみたかったら余剰資金で、楽しめる範囲で」と強調しているのが印象的でした。逆に言えば、遊びではなく本気になってしまうような鈴木さんのような人は投機をするべきじゃないということですね。

当時は専業主婦だったので自分のお金を稼ぎたい、殖やしたい、という攻めの意識がむしろ高まったのだと思います。守りの意識が皆無でした。金融機関で働いていても、結婚して子どもを育てていてもそのことに気づかず、ファイナンシャルプランナーの勉強を始めてようやく自分の無知さ加減を知りました。

(撮影:尾形文繁)

――若い頃なら多少の失敗は笑い飛ばせます。でも、晩婚さんの年代になってからなけなしの貯金を失うようなことは避けたいです。

そうですね。晩婚さんは、お金のかかるさまざまな課題に対してのんびり構える時間がありません。妊活も長々とはできませんし、住宅ローンも早く組まなければ返済期間が短くなるため、月々の返済額が上がってしまいます。それに、年金生活になっても返済が続く可能性がありますよね。

例えば、40歳のときに30年ローンを組むとします。東京都内で月々の返済額が1桁というケースはよほどの頭金がなければ難しいので、例えば70歳まで月15万円を返し続けると仮定しましょう。年金額は夫婦で24万円としたら、切り崩せる貯金がない場合は65歳で退職した後の5年間は月9万円で暮らさなければなりません。水道光熱費などを引くと、かなりカツカツの生活になってしまうでしょう。

夫婦間での情報共有と価値観のすり合わせを

――とすると、晩婚さんがまずやるべきことは何でしょうか。

夫婦間での情報共有と価値観のすり合わせです。例えば、親の資産状況と介護の必要性。「すぐに話し合おう」だとトゲトゲしい雰囲気になってしまいかねないので、「お互いの親に今後何が必要かをそれぞれ洗い出そう」とゲーム感覚でやってみたらいかがでしょうか。

自分たちの老後も意外と近いことを忘れてはいけません。今後の定年は70歳まで延長されると言われていますが、同じ会社で働き続けられても60歳以降は収入が大きく減ることは変わりません。そのときに自分たちはどこでどんなふうに暮らしたいのか。老後のライフスタイルをすり合わせておくことが必要です。例えば、都会のタワーマンション暮らしと田舎の実家暮らしでは生活費が大きく異なるからです。

若い夫婦はこういうことに向き合わずに余剰時間を過ごせたりします。でも、40歳になった頃には仲が悪くなり、情報共有どころか口もろくにきかないようになっていたり……。晩婚さんには余剰時間はありませんが、妊活から老後の計画までを一緒に考えられる心強いパートナーがいます。楽しく取り組んじゃいましょう。この作業の後、資産形成の計画を作っていきます。

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