笑福亭笑瓶さんを襲った「大動脈解離」の正体 聞き慣れないが、誰にとっても他人事ではない

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生活習慣が乱れている人はより悪化しますが、平均的な生活習慣の人でも老化による動脈硬化からは逃れられません。決して、他人事ではありません。

例えるなら、若い頃の血管はゴムホースのようにやわらかいのに、50代以降の血管は、コンクリートの水道管のように硬いのです。

「動脈硬化」は誰にでも起きる

血管が硬くなると、高血圧や冷え性などの体調不良を誘発します。なかでも最も恐ろしいのは、硬くなっていくことによって起こりうる、血管の「詰まり」や「破裂」です。

私たちの体にある細胞というのは、日々さまざまなことからダメージを受けていて、それが老化の原因にもなります。生きているうえで、そのダメージを完全に防ぐことはできないのですが、たばこや不摂生な生活、偏った食事、大気汚染やストレスなどもダメージを増幅する大きな要因になるのです。

血管の細胞も、さまざまな要因によってダメージを受けています。そのダメージによって血管の内皮細胞は徐々に衰え、血管が硬くなっていきます。さらに、硬くなった血管は、より一層、傷ついたり、炎症を起こしやすくなるのです。

そのメカニズムはこう。心臓は1分間に約70回も拍動して、毎分約5リットルもの血液を体に送り込んでいるのですが、ここから生じる圧は、血管にとって大きな衝撃です。

血管は、何十年もこの圧に耐えているのですから、それだけでも負担がかかりますね。

さて、若い血管というのは、血液が流れてきたときに、波を打つようにしなやかに広がってくれます。実は、このように血管が広がることによって、血流の衝撃をやわらげることができるのです。

反対にカチコチの血管はというと、伸び広がりませんから圧を血管壁がダイレクトに受けます。やわらかいゴムの板ならばボールをぶつけても衝撃を吸収しますが、硬いプラスチック板だったら衝撃によって板にヒビが入りかねません。つまり、硬い血管の場合、圧の衝撃によって、なおのこと血管の内皮細胞が傷ついたり、炎症を起こしてしまうのです。また、その衝撃に耐えようとして、自らをもっと硬くしていくので、動脈硬化が一層進行してしまいます。

さらに進むと、血管の炎症や傷から悪玉コレステロールが入り込み、プラークと呼ばれる粥状の塊が血管内にできてしまいます。すると血液の通り道が狭くなってしまいます。そして、そのプラークがどんどん膨らんでくると破裂が起こり、その傷をふさぐための血栓(血の塊)ができるのです。それが、狭くなった血管部分に詰まってしまえば、血液の流れを止めてしまいます。これが、脳で起これば脳梗塞、心臓なら心筋梗塞に。こういった重大な疾患へとつながりかねないのです。

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