ステージ3の大腸癌、42歳男性が得た「大切なもの」 再発や死の不安を軽くしたのは「仲間との走り」

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健康だと思っていたら…進行がんを患った筆者が「病気と走ること」について語ります(写真:マハロ/PIXTA)
足を蹴り上げ、腕を大きく振る――。この「走る」というシンプルな動作に隠されている心とのさまざまなつながりを、プロランニングコーチの金哲彦さんがひもとく本連載。今回は自身の体験から「病気とランニング」についてお伝えします。

医療技術が飛躍的に進歩した昨今、「人生100年時代」といわれるようになりました。政府も新たな人生設計の構想会議を設置しています。

とはいえ、60歳あるいは65歳で定年退職して「あと40年あるよ」といわれても、実感が湧かない人のほうが多いのではないでしょうか。

確かに、日本の平均寿命は世界のトップクラス、健康寿命も徐々に伸びています。

しかし、それほど不摂生ではない生活をしていても、歳を取ればなんらかの病気になる確率が高くなります。しかも、加齢が進んでからの病気は若いころのものとは違います。がんや心臓病など、生命にかかわる重篤な病気になる可能性が増えるのです。

自分の健康を過信した結果…

筆者が知る限り「基礎疾患」がある人たちは、少なくとも自分に持病があることを意識し、健康に留意した生活を送っているような気がします。

やっかいなのは、「未病」です。未病にもいろんな意味があると思いますが、筆者が思い描くのは、「特段の自覚症状がないまま、体内の病状が進行している状態」です。

東洋医学では、病名がつかない「未病」でもなんらかの対処をします。たとえば、身体を温めることや漢方薬の処方などです。つまり東洋医学では「未病」も病気のひとつの状態だと考えているのです。しかし、西洋医学は違います。病名がついてはじめて病気だと判断し、そこから治療を始めます。そこが大きな違いです。

私は、42歳のときステージⅢまで進行した大腸がんを患いました。早期発見ではなかったのですが、幸い手術が成功し、転移や再発することなく現在に至っています。

大腸がんに気づいたのは、大量下血という明らかな症状があったからです。下血があるまで毎日のように走り、ハーフマラソンやフルマラソンのレースにも積極的にチャレンジしていました。運動をやっていない人と比べるとかなり健康的な生活を送っていたと思います。

診察したドクターから「ここまでがんが大きくなるには少なくとも3~4年はかかります。これまで、なにか自覚症状のようなものはありませんでしたか?」と質問されました。

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