六角精児60歳、「芝居に興味がなかった」末の今 「自分がどう見えるかなんて興味ないですから」

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── 六角さんはお芝居にあまり興味がなかったとのことですが、劇団ではいつも主要な役をされてきました。演出家からいつも選ばれてきた理由は自分ではどこにあるとお考えですか。

六角:おそらく、自分に何かがあったんでしょうね、きっと(笑)。でも自分では全然感じてなかったです。今だって感じていないです。ただ来た仕事に関しては、自分のできる限りのことはしようと思ってやっています。それだけのことですね。そもそも自分がどう見えるかなんて興味ないですからねえ。そんなことに興味があったら、俳優なんてできないですよ。

(写真:平郡政宏)

俳優の仕事は、脚本の内容を自分の体を通して人に伝えること

── なるほど、そういうものですか。すると俳優という仕事は何を思ってやるのでしょう?

六角:俳優の仕事って、脚本があって、その脚本を自分の体を通じて人に伝えることですから。そこで自分はどう見えるかとかあんまり考えない方がいいんですよ。実は誰にだって自意識は凄くある。自分にも「俺ってどう見えてるんだろう」と思っていた頃がありますが、ある時期からそれはやめました。何かあったら他人からのレスポンスは必ず返ってくるから。自分の引き出しの中のものをどんな塩梅で出すか、そこで自分にできることをやるだけです。

芝居に入ると素の時と違うという人もいますが、自分の場合は何かが変わるとは思わないし、自分の延長で溶け込んでいければいいかなと。台本なり、見ている人なりに。そういう表現もあっていいんじゃないですか。

── ご自身はそのようにして仕事をする中のどこに面白さを感じていますか。

六角:面白さを充実感と言い換えるのであれば、人とエネルギーのやり取りをしたところで物事が成立したり、作れたりした時でしょうか。

またその時点で乗り越えるには困難なことを、色々と練習したり考え抜いたりして克服できた時も充実感を得ます。だから割と大変なことの方が良かったりするんですよ。大変な山の方が面白い。自分のしやすいことばかりやっていると見ている方も大して面白くないんです(笑)。ただバランスも大切で、楽にこなせることと困難なことはいい塩梅にあったほうがいい。その辺は自分の年齢や経験で見えてくることかもしれませんけど。

── その人にしかわからない困難がありますものね。

六角:そう、各々の尺度で測ればいいわけで、誰かの言っていたことをそのままやってみても、自分の尺度じゃなければ間違いが生じるんですよ。自分で感じてやっていかないと、見つからないと思う。

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