六角精児60歳、「芝居に興味がなかった」末の今 「自分がどう見えるかなんて興味ないですから」
駄菓子屋のくじ引きも射倖心という意味ではギャンブルです
── 六角さんも仕事で悩んだ時期や乗り越えきれない問題を抱えたことがあったのでしょうか。
六角:そりゃね、借金で潰れかかりましたから(笑)。でもたぶん、人が悩むより悩んでないから、今までこうしてやってこれたんでしょうね。まあでも大変苦労しましたよ、お金では。利息っていうものを払い続けた時期がありましたから。もう今じゃ利息を憎んでおります。利息なんか絶対払ってやるもんかと。だから利息を払う買い物をしないようにしています。
── その借金はやっぱりギャンブルですか。
六角:そう、自分のギャンブルです。
── ギャンブルは、いつぐらいから始められたんですか。
六角:小学校の5、6年ですかね。だって駄菓子屋のあのくじ引きだとか10円のガチャガチャ、あれもギャンブルと同じですよ。ものがお金に変わるだけで、射倖心という意味ではギャンブルです。
── 確かにあれはギャンブルの第一歩かもしれません(笑)。六角さんはそのギャンブルの何にお金を払っているんでしょうね。
六角:ヒリヒリ感ですよ。ヒリヒリ感を買うためにやっているんです。よ〜く突き詰めたら勝ちも負けも関係ない、同じですよ。
── するとお金を儲けたいとか、欲しいものを買うという目的があるわけではなく。
六角:そういう場合は“お金が好き”なわけで、“ギャンブルが好き”なのとは違うと思います。ギャンブルでなんとか生活できるって人は、よほどシビアにやっていますよ。それ以外の人はただの依存症です。やっぱりあのヒリヒリ感は脳に与える刺激が強いんだと思う。依存症は治りません。
── 著書『少し金を貸してくれないか 続・三角でも四角でもなく 六角精児』(講談社)の中で、ギャンブルしかせずに、パチプロの人たちとだけ過ごした時期のことが書かれていました。その一節に”漂うような焦燥感と沈んでいくような快感。まるで水の中にいるようだった”とありました。この時の心境はどういったものだったんでしょう。