「ロシア軍に包囲された街」バフムート緊迫の行方 日本人写真家が見たウクライナ最前線の今

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西側から見たバフムート。北東南の3方向からロシア軍に包囲された状態になっている。 1月13日(写真:筆者撮影)
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、2月24日で丸一年になる。アメリカのバイデン大統領は2月20日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、「ウクライナの民主主義と主権、領土の正常性に対する揺るぎない支援」を表明した。しかし、戦況は一進一退の状況で、終わりは見えていない。
日本人写真家の尾崎孝史さんは、昨年2月の開戦後にウクライナ入りし、4月から前線近くの街、ザポリージャ市を拠点として、取材・撮影を続けている。現地の人々の暮らしは今どうなっているのか。今回は激戦地であるドネツク州・バフムートとシベルスクからレポートしてもらった。
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ウクライナ東部ドネツク州にあるバフムート。16世紀、イワン大帝がロシア南方を防衛するため要塞を建設したことで、長年にわたり紛争の舞台になってきた街だ。

バフムートは現在、首都キーウとロシア国境を結ぶウクライナ最長の幹線道路「M03」の真上に位置する。交通の要衝をめぐるロシア、ウクライナ両軍の戦いは昨年8月に激化し、ウクライナ戦争において最も長く交戦状態が続いている。

私がバフムートを訪れた1月中旬、約7万人だった人口は6000人ほどになっていた。ロシア軍の砲撃によって商店は破壊され、ライフラインが絶たれた街は兵糧攻めの状態だった。住民にとって人道支援の車が命綱になっていた。

「ここで配給をしよう。急いで」

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