地下へ降りると薪ストーブの番をしている人がいた。狭い倉庫にベッドを持ち込み、充電式のライトを頼りに過ごす人もいた。
玄関の前で水の配給が始まった。後ろのほうで大きなペットボトルを5つも持った高齢の女性が並んでいた。ガリーナ・ミホディエヴナ、84歳。娘とともに診療所の地下で暮らしているという。
「私は一軒家に住んでいましたが、昨年の4月28日家に爆弾が落ちました。家もフェンスも、何も残っていません。爆弾は重くて、外は怖いです」
「避難しないのですか」と尋ねたボランティアに、ガリーナはこう答えた。
「すっかり歳をとってしまって、ほとんど歩けませんから。なるようにしかなりません」
インタビューの最中にミサイルの発射音が数回響いた。近くに陣地を構えているウクライナ軍が放った音だ。
街の西側6キロほどのところにロシア軍の支配地域がある。人海戦術で前進しているロシア軍は、ウクライナが奪還したビロホリフカを再度占拠する勢いだという。
診療所のスタッフ、オレナ・ボンダレンケ(51)はこう話す。
「戦争で亡くなった街の人は100人ほどになると思います。毎日のように攻撃があって不安ですが、頑張っています」
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