ユニクロが大幅賃上げできる「生産性」のカラクリ 同業他社と異なる人員配置の「しくみ」とは?
では、国内ユニクロ事業の粗利率の推移をあらためて見てみよう。
近年の商品海外調達の原価高騰に対し、ユニクロはマーケットのプライスリーダーとして、必要最小限の値上げにとどめるため、同社は値下げ、特に期間限定価格(値下げ)のコントロールに努めてきた。そのため、同事業の粗利率は向上傾向にある。
生産性の高さ、労働分配率の弾力余地、改善が進む粗利率、これらを組み合わせれば、ユニクロ国内事業において、15%の賃上げの原資はつくれそうである。
一般的に賃上げの原資をつくるには、一人あたり売上高を増やすか、粗利率を高めることで、人時生産性を上げることだろう。
1人当たり売り場面積はしまむらが圧倒的に広い
ユニクロにとって、高い生産性をさらに上げる余地はあるのだろうか? そのカギの1つは、現在、1店舗当たりの売場面積の大型化を進めている国内店舗の中で、従業員1人当たりの売り場面積、つまり、1人当たりの守備範囲を広げてもムリなく業務が回るようにし、定員数を減らす手がある。
グラフは業界他社比較だ。対面接客型のユナイテッドアローズやアダストリア(グローバルワーク、ローリーズファームなどを展開)の多くのブランドは1人当たりの売り場面積(坪)を広げることに限界があるとしても、しまむらと比べると、ユニクロ国内事業には、まだ1人当たりの売り場面積を広げる余地はあるのではなかろうか。
最近のユニクロのセルフレジの導入は1人当たりの売り場面積拡大(定員の縮小)に大きく寄与したはずだ。少ない人数で回せるようになれば、少数精鋭のオペレーションに対し、1人当たりに充当する人件費を増やすこともできる。
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