「認知症」と「健忘症」のもの忘れ、決定的な違い 認知症予備軍「MCI」の可能性はありませんか
例えば、生活習慣病などの他の病気で考えてみても、有病者よりも予備軍のほうが少ないなどということは、まずありません。有病者よりも予備軍のほうが多いのが一般的です。そうであるならば、認知症の人が約462万人いるとしたら、MCIの人はそれよりも多く、700万〜900万人ぐらいいると考えるのが妥当なのではないでしょうか。
さらに言うと、冒頭で述べた通り、高齢者の認知症の人は2020年に推計で約600万人、2025年には約700万人に増えると予想されています。ここから、MCIの人は認知症の人の1.5〜2倍いるという仮定で計算すると、2025年にMCIの人は1000万〜1400万人にもなる可能性があるのです。
MCIと認知症が異なる点は大きく2つ
MCIと認知症が異なる点は、大きく2つあります。
1 (現れる症状によって)日常生活に支障をきたすかどうか
2 自分がもの忘れなどのミスを繰り返すことを自覚できるかどうか
これは、日常生活を送るうえで、特に支障をきたしていなければMCIで、支障が出てくると認知症、ということです。たとえば、厚生労働省のウェブサイトでは、認知症を次のように定義しています。
では、日常生活全般に支障が出てくるほど認知機能が低下した状態とは、具体的にどんな状態を指すのでしょうか。その例として、「健忘症によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いをお話ししたいと思います。
「もの忘れ」は、認知症の代表的な症状(中核症状)の1つですが、認知機能が低下していない若い人であっても、もの忘れをすることはあります。また、誰でも年齢を重ねるごとに忘れっぽくなります。こうした健康な人や加齢(老化)によるもの忘れを「健忘症」と呼びます。この健忘症によるもの忘れと、認知症によるもの忘れには大きな違いがあります。
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