その体現が、「熱狂するチーム」だと私は思います。熱狂とは強さから生まれるものではありません。熱狂は弱さから生まれるものです。自分という弱い存在を、支え、助けてくれた人への「感謝」や、人の弱さを受け止め、慈しみ、寄り添い、支えようとする「愛情」が熱狂の火種になります。
企業を改革しようとするときに、どこから手を付けるべきなのか。いろいろなアプローチがありますが、個人が変わっても会社が変わらなければ、結果は変わりません。一方で「会社全体を変えよう」となると、取り組みは漠然としたものになってしまいがちです。
将来の予測が困難で、これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こる時代においては、すべての企業や組織に非連続的な変化が求められます。
富士フイルムはなぜ生き残ったのか
例えば、富士フイルムはデジタル化の波で競合のコダックが経営破綻する中、「ヘルスケア」や「高機能材料」という新領域を伸ばして生き残りました。既存技術を生かした製品開発や既存市場の販路拡大といった連続的な成長ではなく、時代の変化を見据えて、新たな技術、新たな事業領域にチャレンジしながら、会社のビジネスモデルそのものを変える。そのような非連続な成長が求められています。
連続的な成長であれば、今までの枠組みに今までと同様の人材を追加すれば対応できたかもしれません。一方、非連続な変化のためには、新たなケイパビリティ(能力)を持った人を集め、今までとは異なるプロセスで価値を生み出す必要があります。
これを会社全体で取り組もうとすると、新たなケイパビリティを持った人が、既存事業の組織運営の枠組みの中で管理され、潰され、結果として企業全体の変革は失敗します。
すべての非連続な変化は、1人の個人、または小規模なチームから生まれます。つまり、現在の停滞する社会や企業では、チームで突き抜けた成果を出すことが最もインパクトのある取り組みです。
チーム変革の過程で、メンバーが今までにない体験を得る。体験を得ることで個人の信念が変わり、行動が変わっていく。そうしてチームが変われば、その動きはどんどん大きくなっていきます。会社全体、社を越えたアライアンス、ひいては社会にもインパクトを与えていきます。組織全体がスピード感を持って成長していくためにも、変革の起点はまず、会社や組織全体ではなくチームに置くべきです。
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