12年周期でなくてもOK「大規模修繕」の大誤解 築40年超は「115.6万戸」マンション管理の課題

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施工に早得、早割はない!適切な時期の見積もりを

マンションの資産価値を守るために欠かせない大規模修繕工事。しかし規模が大きければ当然、コストもかさむ。コロナ禍による流通の混乱やウクライナ危機など国際社会の混乱により、木材や鋼材などの価格は高止まりが続いている。さらに業界では慢性的な職人不足続く。人材の確保には人件費も必要になり、当然ながら工事費用にも響いてくることが考えられるだろう。

では、現状でいち早く見積もりを取ったほうがお得なのではないか?と考える方もいるかもしれない。答えは「ノー」だ。上がるだろう工事費用を見越した見積もりになってしまい、かえって負担が増えるケースも考えられる。

工事費用に「早割、早得」という考え方はない。施工が必要な時期に必要な内容で見積もりを取ることが、結果的に費用を抑えるという点を心しておきたい。同様に必要以上に急いで施工会社を決め、契約を取る必要はない。

施工会社の選定条件は?下請け会社の工事で大丈夫?

大規模修繕工事において、実際の工事を担うのは下請け会社ということは珍しくない。一般的に大手と呼ばれる施工会社に依頼した場合でも、まず1次下請けに業務委託を行う。さらに、各々の会社の専門分野、例えば外壁補修はA社、塗装はB社……と適切な会社に業務が振り分けられるのが一般的だ。

大手の施工会社だから安心?

大手の施工会社に工事を依頼するメリットは、安心と補償が得られる点だろう。しかしどのような会社でも実際の工事を手がけるのは現場の下請け会社、職人たちだ。だからこそ会社の規模よりも、現場を取り仕切る現場代理人に着目してほしい。

下請け会社や職人たちを束ね、求心力を発揮する現場代理人がいる現場で工事は成功する。会社の規模は無関係な部分とも言えるのだ。したがって会社のネームバリューにこだわるよりも、現場代理人の「人柄」にこだわるようおすすめしたい。

もう1つ、「よい施工会社に依頼するためにどうすればいいのか」というポイントについて質問を受ける機会も多い。よりよい施工会社を選ぶため、募集する際の条件、いわゆる「公募条件」を細かく設定すればいいのではないか、と尋ねられたことがあった。公募条件とは、公募期間や参加資格、工事の内容について記載し、施工業者を募るというものだ。

確かに、工事の概要を事細かに伝えるのは悪いことではないだろう。ただ残念ながら、あまり細かく厳しい条件を設定すると、かえっていい会社との出会いを逃しかねない。この条件が厳しければ厳しいだけ、「1つでも満たさないものがあると手を挙げても受注できる確率が下がるのではないか」判断する施工会社は少なくないためだ。

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