中国非鉄金属大手が「M&A戦略」見直す背景事情 紫金鉱業、投資の重点を海外から国内にシフト

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紫金鉱業は海外で多数の鉱山権益を買収してきた。写真は2020年に買収した南米ガイアナの金鉱山(同社ウェブサイトより)

中国の非鉄金属大手の紫金鉱業は1月30日、投資家向けの情報開示で中期経営戦略の概要を発表。そのなかで、今後の資源開発投資の重点を海外から中国国内や周辺国にシフトさせる方針を明らかにした。

紫金鉱業は、非鉄金属資源の開発権益を最も多く保有する中国企業だ。2022年の生産量は銅が85万9000トン、金が56トンに達し、企業別のランキングで前者が世界第6位、後者が第9位だった。

同社は長年にわたって経営のグローバル化を推進し、海外で多数の資源開発権益を買収してきた。だが、同社のM&A(合併買収)戦略には変化の兆しが見え始めていた。

例えば2022年、紫金鉱業は資源開発権益の買収に総額314億元(約6041億円)超を投じたが、そのうち海外への投資は約4分の1だった。つまり、残りの約4分の3は中国国内に投じられたということだ。

地政学的リスクに対応

国内投資を増やしている背景には、2つの要因がある。第1に、(海外投資の)地政学的なリスクへの対応。第2に、国内での資源開発を取り巻く経営環境の改善だ。

世界の産業構造は(地球温暖化対策の推進や自動車産業のEVシフトなどを受けて)大きく変化しつつあり、(再生可能エネルギーや車載電池などの)新興ハイテク産業が急成長している。それが(リチウム、ニッケル、レアアースなどの)関連資源の需給逼迫を招き、戦略的な鉱物資源の確保をめぐる国家間の(地政学的な)争いが過熱している。

「世界各国の政治や経済、資源開発業界の先行きには一定の不確実性がある。中国の資源開発企業のグローバル化は、新たなチャンスとリスクに直面している」。紫金鉱業は中期経営戦略の概要のなかで、地政学的リスクについてそのような見方を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

その一方、国内での資源開発に対する中国政府の産業政策は、過去2年間に抑制から促進に転じた。紫金鉱業は、国内の鉱物資源やエネルギーの探査、開発、増産という新たなトレンドが、今後さらに勢いを増すと予想している。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は1月31日

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