東大理Ⅲ生「留年取消訴訟」、地裁差し戻しの重み 「単位不認定は争いうると東京高裁が明示した」

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東京大学
東京大学で起きた訴訟に変化が起きた(写真:夏夫/PIXTA)
新型コロナを発症した東京大学の学生の進級をめぐり、大学側の主張を一方的に支持して口頭弁論も開かず、「門前払い」にした東京地裁の判決が東京高裁で取り消された。コロナで授業が受けられずに単位を落としたことで留年が確定した学生に、法的な「処分」ではないから裁判の対象にしないとする非情な判決が否定された。具体的な審理はこれからだが、東大が「聖域」にしようとした単位認定をめぐる判断が問われることになる。

コロナで欠席→単位「不可」、成績確認後さらに減点

訴訟の経緯はこうだった。

東大教養学部理科Ⅲ類の杉浦蒼大さん(20)が昨年5月にコロナを発症して基礎生命科学実験の授業を受けられず、6月に単位を「不可」とされた。そこで、コロナの罹患と後遺症について2通の医師の診断書を提出しようとしたが、担当教官は受け取らず、成績に関する説明も拒否した。

そこで、大学のシステムから、「成績確認申請」をしたところ、不可とされた同授業の成績が、さらに17点減点された。大学はその理由を「ほかの学生と成績評価を取り違えていた」と説明した。大学が杉浦さんに開示した同実験の成績は、100点満点中26点。東大は2年生の前半で、3年生として進学する学部を選択する。8月19日がその選択の日だったが、杉浦さんは大学のシステムで進学選択ができず、後期は1年生からやり直す「降年」が決まった。同日、東京地裁に提訴した。

東大教養学部理科Ⅲ類の杉浦蒼大さん
記者会見する東大教養学部理科Ⅲ類の杉浦蒼大さん(中央)

訴えによると、理Ⅲの杉浦さんは医学部への進学を希望しているが、実験の単位は必須科目のため、落としたことで進学先選択が認められなかった。この進学先選択不可や降年などを東大による「処分」として、取り消すことを求めた。

しかし、東京地裁は、文書だけのやりとりで、口頭弁論を開くことさえなく、提訴から1カ月もたたない9月13日に訴えを却下した。

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