「羽田エアポートガーデン」が新名所になる可能性 大型商業施設+高速バスターミナルの新拠点

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ここでバスターミナルを利用する際に使える施設を紹介しておこう。まず、トイレ、コインロッカーはターミナルの乗り場兼待合室のすぐ裏にある。コンビニも歩いてすぐのところだ。さらに、扉を隔てた内側の空間にはレストランがいくつも入っており、ランチ、夕食の時間の食事には全く困らない。

一本鰻で知られる「うなぎ四代目菊川」(本店:名古屋市)、幅広のうどん「ひもかわ」で知られる「花山うどん」(本店:群馬県館林市)、味噌カツの「矢場とん」(本店:名古屋市)なども、バスターミナルから徒歩わずか30秒だ。「カレーは日本の国民食」という不思議な命名の店は、金沢の「ゴーゴーカレー」と「パキスタン料理専門店シディーク」のコラボで、両方の料理を同じ店舗で提供している。

また、これまた名古屋発で親子丼などの鶏料理を展開する「鳥開総本家」は、バスターミナル東京八重洲のすぐ上でも見かけたので、偶然かもしれないがバスターミナルに縁のある店である。

1階にはフードコート「大江戸フードホール」もある(写真:住友不動産商業マネジメント)

そして羽田エアポートガーデン全体に視野を広げれば、エアポートホテルとしては日本最大の1717室を誇る「ヴィラフォンテーヌグランド羽田空港」、入浴施設の「泉天空の湯」もあって、お風呂も宿泊も困らない。

ショップも文具大手コクヨのアンテナショップ的な役割を持つ「KOKUYODOORS」や京都の化粧筆専門店「六角館さくら堂」など、個性的な店が並ぶ。外国からの旅行客が喜びそうだが、どれも思わず入りたくなるお店ばかりだ。

課題はあるも深化が楽しみ

筆者は昨年末、久しぶりにシンガポールの表玄関、チャンギ国際空港を訪れ、巨大な複数のターミナルに囲まれるようにつくられた「ジュエル」という空港直結の巨大ショッピングモールに入ってそのスケールに度肝を抜かれたが、羽田もコロナによる停滞をようやく脱し、新たなステージに入りつつあるように感じた。

本題である高速バスに話を戻せば、「バスタ新宿」から「バスターミナル東京八重洲」へ。そして「羽田エアポートガーデンバスターミナル」へ。東京の高速バスターミナルは課題も抱えながらまた新しい顔を見せてくれており、今後のさらなる深化が楽しみでもある。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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