「上手な文章を書きたい」と思う人が陥る意外な罠 「いい文章」より大切なのは「いい視点」を持つ事

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しかし、そんなことよりもはるかに大事なことにやがて気づいていきます。それは、「何を書くか」でした。

私が書くキャリアをスタートさせた採用広告であれば、その会社の魅力。他社とはどんな違いがあるか。成長性や将来性はどうか。社長の人柄は。社風や福利厚生の特徴は……。

それこそ極端な話ですが、こねくり回して文章を書かなくとも、事実をズバッと書くだけで、十分に魅力が伝えられたりします。たとえば、

「この10年間、新卒採用で1人も退職していません」
「社長が社員とその家族の誕生日に花を贈っています」
「売り上げは20年間、一度も下がったことがありません」

どうでしょう。事実だけで充分に説得力があるのではないでしょうか。

書き方よりも、書く中身。どんなにうまく書いても、中身のチョイスが間違っていては……ということになるのです。実は書くスキル以上に、「何を書くか」を選ぶことこそ重要なのです。

そして「何を書くか」を設計していくとき、しっかりと考えなければいけないのが「目的」と「読み手」です。

「表面上の目的」と「真の目的」は違う

文章を書こうとするとき、まずやらなければいけないことがあります。
それは、文章の「目的」をはっきりさせることです。

何を言っているのか、そんなことは当たり前ではないか、目的をちゃんと理解して文章を書いている! と思われるかもしれませんが、実は落とし穴があるのです。

目的には「表面上の目的」と「真の目的」があるからです。これをしっかり理解しないまま書こうとすると「何を書いていいか、わからない」「なかなか書き進められない」ということになりかねません。

たとえば、社内報で求められたエッセイを書く。目的は、「社内報のエッセイ」ですが、これは「表面上の目的」にすぎません。実はそこから一歩、踏み込んでみる必要があるのです。それが、「真の目的」です。

したがって、エッセイを求められたら、社内報の制作担当者に「これは何のためのエッセイなのか」を問わなければいけません。そうすると、「ああ、社内にはいろんな人が働いているので、その人の仕事内容を紹介したいんです」と返ってきたりする。これこそが「真の目的」です。「自分の仕事を他部署の人に正しく伝える」。

もし、これを確認していなかったら、どうなるでしょうか。ピント外れの文章を書いてしまいかねなかった、また、「何を書いていいかわからない」となったはずです。

社内報のエッセイでは、もしかすると、制作担当者からこんな返答が来るかもしれません。

「ああ、職場ではなかなか見せないプライベートな姿を紹介してほしいんですよ」

となると、これが「真の目的」になります。

どうでしょう。まったく違う「真の目的」ですから、まったく違うエッセイが求められることになるわけです。

そして「真の目的」の確認は、ピント外れな文章を書かなくて済む、ということだけではありません。もう想像いただけると思いますが、何より書きやすくなるのです。

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