「上手な文章を書きたい」と思う人が陥る意外な罠 「いい文章」より大切なのは「いい視点」を持つ事

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単に「社内報のエッセイ」では、何を書いていいのか、わからない。家族のことを書こうかな、ペットのことかな、入社動機かな、などと悩んでしまうことになります。

しかし、「自分の仕事を伝える」「職場では見せないプライベートな姿」となれば、すんなり「何を書くか」が浮かんでくるのではないでしょうか。

必ず「真の目的」まで掘り下げる

文章をなかなか書き進められないときは、「どう書くか」に頭を悩ませてしまうことに加え、「何を書いていいのかわからない」「書くことがなくて困る」ことが原因になっていることが少なくありません。

それは、端的に「真の目的」まで掘り下げられていないからです。社内報のエッセイだけではありません。実はすべての文章がそうです。

メールも同様で、「報告のメール」なのか「相談のメール」なのか「連絡のメール」なのか「お礼のメール」なのか「提案のメール」なのか「謝罪のメール」なのか、はっきりと「真の目的」を定めて書くことで、一気に「何を書くか」がイメージしやすくなります。

新商品のPR文、出張レポート、会議の議事録などについて、表にまとめてみましたので、参考にしてもらえたらと思います。

「表面上の目的」から「真の目的」まで掘り下げる

いずれも、「表面上の目的」だけでは何を書いていいのかわかりにくかったものが、一気にイメージできるようになっていくと思います。つまり、文章に関わる仕事が来たら、必ず「真の目的」を確認しておく必要があるのです。

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実はこの「表面上の目的」「真の目的」にはっきりと気がついたのは、週刊誌のグラビア記事で、歌手、俳優の福山雅治さんにインタビューしたことでした。しかも2回、です。

1回目は、週刊誌のメイン読者(60代)向けに「人生これから、頑張りましょう」というメッセージの記事だったのですが、2回目は違っていたのです。新規読者の獲得のために「同世代の40代、頑張ろう」というメッセージの記事だったのでした。

60代向けのメッセージと、40代向けのメッセージでは、書く内容は大きく変わっていきます。「真の目的」をしっかり確認しなかったら、私は1回目と同じメッセージで書いてしまったかもしれない。「表面上の目的」だけで文章を書いてしまう危険を、このときに改めて痛感したのでした。

発想転換 「どう書くか」より「何を書くか」が重要
上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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