5%賃上げのムードが決して楽観視できない事情 企業の付加価値と照らし合わせて考えてみた

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賃上げ
物価上昇率を超える賃上げは実現できるか?(写真:metamorworks/PIXTA)
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賃金の動向を決めるのは、企業の付加価値の動向だ。賃金総額の伸び率は、付加価値の伸び率に等しいはずだ。最近では付加価値の対前年伸び率は5%程度になっているが、企業は、恒常的な伸び率をもっと低く見ているだろう。したがって、経済全体としての5%賃上げは難しく、実質賃金は低下するだろう。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第88回。

粗利益に対する給与・賞与の分配率はほぼ一定

物価が高騰する中で、今後の賃上げに対する期待が高まっている。

連合は、ベースアップ相当分として3%程度、定期昇給分を合わせると5%程度の賃上げを要求するとしている。

岸田文雄首相は、1月5日、経済三団体の新年祝賀会であいさつし、「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい」と述べた。

経団連は、春闘に対する指針で、大幅な賃上げを「社会的責務」とした。

ただし、賃上げはそうした掛け声だけで実現するものではない。

賃金を決めるのは付加価値だ。以下では、この概念を用いて、賃上げの可能性を検討しよう。

付加価値のデータは、「法人企業統計調査」で得られる。そこでは、付加価値額=人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益と定義されている。

ただし、年報ではこの数字が示されているが、四半期統計においては示されていない。

そこで、ここでは、粗利益(売り上げ-売上原価)を見ることとする、これは、付加価値とほぼ同じものだ(ただし、売上原価の中には、工場での賃金が含まれている場合があるため、正確には付加価値と一致しない)。

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