粗利益に対する給与・賞与の分配率はほぼ一定
物価が高騰する中で、今後の賃上げに対する期待が高まっている。
連合は、ベースアップ相当分として3%程度、定期昇給分を合わせると5%程度の賃上げを要求するとしている。
岸田文雄首相は、1月5日、経済三団体の新年祝賀会であいさつし、「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい」と述べた。
経団連は、春闘に対する指針で、大幅な賃上げを「社会的責務」とした。
ただし、賃上げはそうした掛け声だけで実現するものではない。
賃金を決めるのは付加価値だ。以下では、この概念を用いて、賃上げの可能性を検討しよう。
付加価値のデータは、「法人企業統計調査」で得られる。そこでは、付加価値額=人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益と定義されている。
ただし、年報ではこの数字が示されているが、四半期統計においては示されていない。
そこで、ここでは、粗利益(売り上げ-売上原価)を見ることとする、これは、付加価値とほぼ同じものだ(ただし、売上原価の中には、工場での賃金が含まれている場合があるため、正確には付加価値と一致しない)。
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