トヨタ「AE86」電動化&水素エンジン化の真意 メーカーが提案する旧車コンバートの実現性

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86Re:PROJECT
86Re:PROJECTの概要(筆者撮影)

先代モデルの86も発売されてから早10年以上。エンジン内の部品や車体各部のマウントゴムなどが劣化している車両もある。当プロジェクトは、そうした車両について、車両状態の点検を行い、要交換部品や異常箇所がないかを確認。その結果をもとに、ユーザーと相談し、「エンジンリフレッシュコース」「マウントゴム交換コース」などのメニューを用意し、好みに応じた整備を行うというものだ。担当するのは、GRブランドのスポーツモデルやパーツの販売を行う店舗GRガレージ。現在は、静岡県のGRガレージ袋井のみでの運用だが、今後は全国のGRガレージ店で2023年内に随時開始予定だという。

GRガレージで電動化&水素エンジン化できる未来

こうした動きをみる限り、もし、トヨタ製旧車のBEV化または水素エンジン化が実用化されるとすれば、おそらく実際にサービスを担当するのは、GRガレージ店になるのではないだろうか。86Re:PROJECTは、その布石のような気もする。また、実際にサービスが開始される場合、パワートレインのコンバージョンなので、費用はそれなりにかかるだろう。だが、旧車マニアには「いくら払っても乗り続けたい」という人も多い。加えて、昨今は、国内だけでなく、欧米などでも日本製スポーツカーの人気は高い。要望が多ければ、海外のトヨタ販売店などでもサービス展開することも考えられる。

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ともあれ、旧車を長く乗り続けることも、リサイクルという観点でみれば、十分に地球環境に配慮していることは確かだ。トヨタのこうした試みが、どのようなカタチで具現化するのか、今後も注視したい。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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