トヨタ「AE86」電動化&水素エンジン化の真意 メーカーが提案する旧車コンバートの実現性

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プレスカンファレンス
プレスカンファレンスの様子(筆者撮影)

さらにAE86などの名車は、前述のとおり、長年乗り続けているユーザーも多い。だが、一方で、昨今の電動化シフトの動きにより、「将来的にガソリン車に乗り続けられなくなるかもしれない」という不安を持つ愛好家も多いという。近年、スポーツカーを中心に、国産旧車の価格が高騰している背景には、「憧れのクルマに乗るのは今しかない」といったユーザー心理も働いていることがあるといわれる。トヨタのこうした試みは、そうしたユーザーに向けた、「愛車に長く乗り続けられる」方策のひとつでもあるという。

だが、実際にガソリンエンジン搭載の旧車に乗れなくなるときはくるのだろうか? あくまで私見だが、十分にありうると思う。

ご存じのとおり、現在、欧州を中心にガソリンなどを燃料とする自動車の新車販売を禁止する動きが活発化している。EUは2035年、日本でも政府が2030年代を目指す方針を出している。

ただ、そうした国の規制自体は、新しく販売されるクルマの話なので、旧車などすでに販売済みのガソリン車には一見関連しないように思える。だが、例えば、フランスでは、パリが2030年までにガソリン車の市内乗り入れ全面禁止を決めている。そうなれば、新型車であろうと旧車であろうと、ガソリン車はパリを走れなくなる。自宅や駐車場が市内にあるユーザーであれば、保有することすらできなくなる可能性もあるだろう(パリの場合は、市民の60%以上が自家用車を所持していないので、影響は少ないとの説もあるが)。そうした動きが、日本にも波及することは十分に考えられる。

ディーゼル車規制を例に考える

例えば、首都圏1都3県が条例で実施しているディーゼル車規制。これは、独自の基準値を満たさないディーゼル車の乗り入れを禁止するもので、東京(離島を除く)、埼玉、神奈川、千葉で実施。条例自体は各地域で出しているが、規制内容はほぼ同じだ。

東京都に住む筆者も、この条例により愛車の買い替えを余儀なくされた1人だ。東京都では、故・石原慎太郎氏が都知事を務めていた2003年より実施されたが、当時、筆者はトヨタの「ハイラックス ピックアップ」のディーゼル車に乗っていた。

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