相手も自分の言いたいことや気持ちを受け止めてもらえる感覚を得られるので、安心して気持ちを吐露することができ、その結果、気持ちの整理ができて解決に向かいやすくもなります。
では、いかなるときもアドバイスはいらないのでしょうか。親身になることは相手を思っているからこそで、どうにかしてあげたいと意見したくなることもあるでしょう。しかし、残念ながら、そのエネルギーは無駄に終わることが多いのです。なぜなら、答えはもうすでに相談している人の中にあるからです。
相手が答えを求めていることは実は少ない
相談や質問の形態をとっていても、相手が答えを求めていることは実は少ないのです。「自分の置かれた状況を理解してほしい」といった「話を聞いてほしい」という思いであることが多く、実際に、ハラスメント等で訴えがあるケースでさえも、このパターンは半分くらいあります。
また、「答えは決まっているのだけれど、話すことによって整理したい」もしくは、自覚がないだけで心の内には答えがあり、「それにたどり着くまで寄り添ってほしい」という場面も多くあります。ただ、聞いて受け止めてほしいだけなのですから、そこで、よかれと思って「ああしたらいい、こうすればいい」といったところで、なんの解決にもなりません。
しかし、場合によっては、答えが必要な場面もあります。それは、具体的な方法や対策など求められたときです。「この書類の書き方がわからなくて困っている」「〇〇に行きたいのに迷ってしまった」といった内容の場合です。答えられるならば、速やかに伝えましょう。
人との関係性を安定的に健やかに保つには、「境界」を侵害しないことが、大切です。それは、相手と距離をとるということではなく、一人の人間として信頼し尊重することなのです。
一人ひとり大切な存在として関わるために、心にとめていただければ幸いです。
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