JTに物言う株主が株主提案、問われる「親子上場」 上場子会社・鳥居薬品の非上場化、売却を要求

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さらに、キャピタル・アロケーション(資本の配分)の観点から、グループ内で資金を包括的に管理するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によって、「鳥居薬品からキャッシュを適切に活用する機会を奪っている」として、CMSをやめることも合わせて求めているもようだ。

これに対しJTは、「株主提案を受領したことは事実」と認めたうえで、「現在、株主提案に対する会社意見を作成中であり、取締役会で承認され次第開示する予定だ」としている。他方でリムは「個別案件にはお答えできない」とコメントした。

東証も親子上場議論を再開

親子上場をめぐっては、東証が2022年4月にスタートさせた市場区分の再編に関する議論の中でも問題視されるなど、ここ数年、市場では大きな検討課題となっている。そのため東証は、プライム市場を選択する企業の基準として「流通株式比率35%以上」を求めるなど、親子上場の解消を間接的に促している。

また、2020年1月に設置し、2020年9月に「中間整理」を発表して以降、休眠状態だった親子上場の問題点を議論する「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」も2023年1月6日に再開、議論を再スタートさせた。

というのも市場区分の見直しをきっかけに、東証には海外の機関投資家やアクティビストなどから親子上場に関する抗議の声が相次いで寄せられているといい、無視できない状況に追い込まれているからだ。

リムが昨年鳥居薬品に行った株主提案には、JTからの天下りの禁止やCMSによる資金提供の禁止などが盛り込まれていたが、いずれも株主総会で否決されている。今回は親会社であるJTにも同様の提案を行うことで、親子上場の問題を正面から問いかける姿勢だ。両社の株主はどう判断するか。その結果次第では、他の親子上場会社にも影響を及ぼしそうだ。

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