JTに物言う株主が株主提案、問われる「親子上場」 上場子会社・鳥居薬品の非上場化、売却を要求

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JTが「物言う株主」から株主提案を受けていることが東洋経済の取材でわかった(記者撮影)

アクティビスト(物言う株主)が、子会社に続いて親会社にも噛みついた。2022年、医薬品中堅の鳥居薬品(東証プライム上場)に株主提案したアクティビストが、今度は親会社であるJT(日本たばこ産業)にも、3月の定時株主総会に向けて株主提案したことが東洋経済の取材でわかった。

今年に入って東京証券取引所が親子上場問題に関する研究会を再開させるなど、親子上場問題をめぐる議論が活溌になっているだけに、今回の株主提案は波紋を広げそうだ。

「JTは大株主の責任を果たしていない」

提案をしたのは、香港の投資会社であるリム・アドバイザーズ。リムは2022年1月にも、JTが54.8%の株式を握る子会社で、現在は医薬品の販売会社となっている鳥居薬品に対して株主提案を行っている。今回は鳥居薬品に加えて、親会社のJTにも株主提案を行った。

関係者の話を総合すると、リムはJTに対して、同社が鳥居薬品を買収してから25年が経過したにもかかわらず、「一定の実績だと認められるのは、2020年に発売したアトピー性皮膚炎治療剤コレクチムに限られ、親子間のシナジーが見込めなくなっている」としたうえで、「鳥居薬品のPBR(株価純資産倍率)が0.7倍程度で1倍を割っていることに加え、EV/EBITDA倍率(買収にかかるコストを何年で回収できるかを示す指標)が、同規模の医薬品会社が10〜15倍程度であるにもかかわらず、それを大きく下回る4倍程度に沈んでいる」ことを問題視しているようだ。

そのためリムは、「JTは鳥居薬品の企業価値向上に失敗し、大株主としての責任を果たしていない」として、JTに対して鳥居薬品の非上場化もしくは売却を求めているという。

またJT出身者が代々、鳥居薬品の代表取締役に就任していることについて、その人物たちが「医薬品事業に関する豊富な知見を有しているようには見受けられない」としたうえで、天下りが「鳥居薬品の株式価値を毀損し、引いては親会社であるJTの株主価値も毀損している」と見ており、「JTで5年以上役員または従業員として勤務経験のある者が鳥居薬品の取締役に選任されることを防ぐ定款規定を設ける」よう提案しているという。

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