共感より効果的、相手の本音引き出す最初の一言 論破ではない、賢い人が使う「バランス理論」

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たとえば、会議や商談でのやりとりのなかで、相手の意見が本音なのか、建前なのかを見抜きたいとき、あえて異論をぶつけてみましょう。相手の意見と自分の意見が一致しないバランスの悪い状態をつくり出すのです。

そのうえで、相手がどう反応するかを観察します。

相手:「Aの案件は進めていきましょう」

あなた:「いや、私はもう少し慎重に調査を続けるべきだと思います」

このように意見がぶつかったとき、相手が動じず、受け流すようであれば「進めても、進めなくても……」という本心が垣間見えます。逆に、「どんな調査を?」「不安があるの?」と意見の不一致というアンバランスな状態を解消しようとするなら、その意見は相手の本音であるということです。

このメカニズムを裏づけとともに説明しましょう。

あえて反対意見を伝える「バランス理論」

自分(A)と相手(B)とある対象(X)について、次図のような関係性を考えます。この関係性を「A−B−X システム」(Newcomb,1953)といいます。

『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』より

対象(X)に対して、あなたと相手の意見や見解が合わなかった場合、2人の間でのコミュニケーションが活発になります。これはあなたと相手との関係性がバランスを崩し、緊張状態が生まれるから。この「緊張」を不快だと感じ、解消しようとして話し合いが促されるのです。

なお、このシステムのベースになっているのは「バランス理論」(Heider,1958)と呼ばれるもので、3つのバランスが崩れたとき、人は不快感を覚え、バランスを保とうと緊張状態を緩和するほうに行動が動機づけされます。

では、このバランス理論を用いて相手の本音を探るコツについて、より詳しく解説します。

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