共感より効果的、相手の本音引き出す最初の一言 論破ではない、賢い人が使う「バランス理論」

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バランスを保とうとする人間心理を活用するコミュニケーション方法がある(写真:mits/PIXTA)
相手の本音を見抜けない人がいる一方、相手の本音を見抜いて自分のペースで会話をコントロールできる人がいる。この違いはどこから生まれてくるのだろうか? 東京大学大学院で交渉学を学び、認知科学や知能を専門に企業の人材育成業を営む犬塚壮志氏によれば、このような対人関係力は後天的に身につけられる「知能」の1つだという。犬塚氏の新著『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』から、頭のいい人が身につけているコミュニケーションの特徴について紹介する。

意見の不一致から相手の本音を探る

自分のことを理解してもらいたい、相手のことも理解したい。狩猟時代から集団を作って暮らしてきた私たちには、本能的にそんな心理が根づいています。ですから、自分と相手との間に溝があると気づくと、それを解消したいと感じるのは自然なことです。

たとえば、あなたに大切なパートナーがいるとしましょう。その人が大好きな食べ物があります。でも、あなたはその食べ物が苦手です。2人の人間関係は今後も続いていきます。こうした状況に陥ったとき、多くの人は居心地の悪さを感じ、どうにかパートナーの大好きな食べ物を自分もいっしょに楽しめるようになりたいと望むのです。

また、逆のことも起こりえます。自分が大好きな食べ物を一緒にいる相手が苦手にしていたとします。その場合、「これを相手にも好きになってもらえたらいいのにな……」と思うのです。

このように、相手との嗜好の違い、意見や考え方の差に気づいたとき、私たちはどうにか一致させたいという気持ちになり、コミュニケーションを積極的に取ろうとする傾向があります。ある対象に対する相手との不一致を解消させてバランスを保とうとするのです。

じつはこの心理作用、意識的に活用すると、ビジネスなどで相手の本音を探るのに役立てることができます。

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